泥地でも高速道路でもスマートに走れる
他に類を見ないほど強固なボディになったディスカバリー3。そこに電子デバイスがふんだんに盛り込まれているのですが、本文で触れていないものでいえば、下り坂でのスピードを自動的に調整するヒル・ディセント・コントロールや、車の積載従量に関わらず前後のブレーキバランスを調整する電子制御ブレーキ・ディストリビューションなどもあります |
日本デビューは2005年2月。ご存知の通り、ディスカバリー3の上にはレンジローバーがあり、こちらは2002年7月に登場しています。価格はディスカバリー3が新車時価格568万~865万円(グレードは下からS、SE、HSE)なのに対し、レンジローバーは870万~1390万円と2倍近くしました。それが、ともに原稿執筆時点での最安値は275万円。「だったらレンジのほうが値落ち額も大きいし、お得なんじゃないか?」と思われるかも知れません。確かにレンジ好きの方には、そちらでも良いと思います。しかし、私ならディスコ3。その理由を以下じっくりとお伝えしたいと思います。
本来、レンジローバーよりカジュアルで手頃なSUVとして登場したはずのディスカバリー。それこそ、世界一ハードなアドベンチャーレースとして人気のあったキャメルトロフィーにランドローバーがサポートをして、そこでディスカバリーが道とは言えないような過酷な環境を走っていた記憶があります。ルーフに荷物をたくさん積んで網で抑え、斜めでないと走れない傾斜地で、しかもぬかるんでいるようなところを走る、みたいな。
リアゲートは上下分割式で、ガラス部分が上に、それ以外は下に開きます。シンプルなデザインながら左右非対称で、リアゲート形状もそうですが、細かいところではフロントフェンダー脇のエアインテークも右側にしかありません(上の写真と比べてみてください) |
ですが、やはりディスカバリーなのです。泥のブーツで「いいんです!(川平慈英風)」。何しろ、オフロード性能は、それ以前のディスカバリーと比べ、遙かに進歩していたからです。つまりオンロードの快適性とオフロードの実用性という両極の幅がかなり広がった、言い換えれば使い勝手のレンジが広がった車になっていたのです。
それを実現した技術の一つに、ディスカバリー3で初採用されたインテグレイテッドボディフレームがあります。これ、要は「オフロードに強いフレーム構造と、乗用車ライクなモノコック構造を一緒にしちゃった」みたいなもの。この非常に強靱なボディがオンロードでの乗り心地と、オフロードでの走破性のいずれにも貢献しているのです。
また、路面状況に応じて5つの走行シーンを選べるテレインレスポンス(電子制御エアサスとセット)が全車に標準装備されている点もポイントです。こうした電子デバイスによって、オンロードからオフロードのあらゆる路面状況に応じて車をコントロールするというわけです。
こうして、それ以前のディスカバリーとは“別物”になったディスカバリー3。次ページで、その魅力をさらに探ってみましょう。