Mベンツらしいのに。旧々型より安い、旧型ミドルセダン

メルセデス・ベンツEクラス(W210) 外観
旧型Eクラス。丸目4灯のフロントマスクはデビュー当時多くのMベンツファンに衝撃を与えましたが、結局はご承知の通り現行モデルにも引き継がれたデザインモチーフです
基本的に車は古くなればなるほど安くなりますが、例外はあります。例えば前回ご紹介したフェラーリ各車は値落ちしないという例でした。今回は、値落ちしないどころか、先代モデルの平均価格を下回るほど値落ちしてしまっているお値打ちの高級セダンをご紹介します。旧型メルセデス・ベンツEクラス、型式名でいうとW210です。

W210をご紹介する前に、その先代、つまり現行型からみて旧々型にあたるW124について少しお話しましょう。1985年に「ミディアムクラス」という名称で登場したW124はモデル末期に「Eクラス」という呼称が与えられました。それを引き継いだのが、今回の主人公W210、旧型のEクラスというわけです。で、その先輩であるW124は、まぁとにかく自動車雑誌各誌からベタ褒めされた名車でした。運転席から見たときの視認性が考えられて左右のドアミラー形状が異なっているなど、ウンチクもたっぷりある車です。そんな立派な先輩の後に登場したW210はというと、「コストダウンが図られた」などと揶揄されがちで、イマイチ人気が盛り上がりませんでした。

メルセデス・ベンツEクラス(W124) 外観
旧々型Eクラス。当初はミディアムクラスと呼ばれていました。世界最高基準車として各自動車雑誌や数々の自動車評論家に賞賛された名車で、今なおファンの多い一台です。
では本当にW210はコストダウンされた、しょぼいMベンツなのでしょうか? いえいえ、全くそうは思いません。「コストダウンだ!」と言われれば、確かにドアミラーの形状は左右同じになっていたりします。しかし視認性に問題のない新しい形状のドアミラーであれば、コスト削減しながらも、機能的には全く「ダウン」しなくてすむのです。さらに、例えば足回りがW124のストラットから、より形状の複雑なダブルウィッシュボーンに変わったり、世界で初めてドア内蔵式のサイドエアバッグを装備するなど、間違いなく進化しています(他の車同様にね)。その上、コスト削減努力によってW124より少し安かったのです。乗れば間違いなく、Mベンツの乗り心地。走っていると、まるで金庫の中にいる感じで、しかも長距離を運転しても疲れない。名車W124を継ぐにふさわしいモデルでした。

当時はちょうど「セルシオ旋風」が世界を駆けめぐっていました。高品質車も、きちんとしたコスト削減を図れば、質を落とさずとも値段を抑えることができる。セルシオを見て(各社、セルシオを分解して研究した、と言われるほどです)Mベンツも努力した、と言うことです。

さらに、それまでの四角いMベンツから丸みを帯び始めたはしりの頃のMベンツで、その上、W124は日本ではバブル真っ最中に登場できたのに、W210はバブルがはじけて大手証券会社や銀行の倒産などが相次いだ頃の登場…。タイミングもよくなかったようです。

しかし、そのお陰でMベンツのミドルクラスセダンがおいしいのですから、W210には悪いけど、かわいそうだとは思いませんけどね。

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