高級車の証「W型8気筒エンジン」が最廉価グレードと同額!?

VWパサートW8 4MOTION セダン
VWの最上級モデル・フェートン(日本未導入)と同じW型エンジンを搭載するパサートの最上級グレードがパサートW8 4MOTION。ライバルに対し排気量が大きく上質でスムーズに回るW8エンジンと、戦略的な価格設定で勝負を挑んだのですが…
気づけばこんなに値落ちしていて「おいしい!」、という中古車をご紹介しているこの企画。中古車はたいてい新車時価格から少しずつ値落ちしていくもの。しかし、その値落ちのスピードは車によって異なります。さらに、同じ車種でもグレードによってまた変わることがあるのです。今回は、それを端的に示す一台をご紹介しましょう。最上級グレードだったのに今や最廉価グレードとほぼ同じ価格で販売されている、旧型のVWパサートW8 4MOTIONです。

2002年5月に発売が開始されたW8 4MOTION。メルセデス・ベンツで言えばCクラス、BMWなら3シリーズという競合がずらりと並ぶDセグメントの中において、4Lの排気量と4WDを備えた、パサートの堂々たるフラッグシップでした。その価格はセダンが529万円、ワゴンが541万円。当時の最廉価グレード、2.4Lの2WDモデルであるV5(セダン)が349万円ですからその差は180万円もありました。

VWパサートW8 4MOTION  ワゴン
ワゴンモデルの中古車価格は、セダンよりも高め。2004年式だと230万円以上します。また他グレードよりも高い価格で推移しています
ちなみにグレード名のW8とは搭載されたW型8気筒エンジンに由来します。たいていの8気筒はV型ですが、このエンジンはV型4気筒を横に2つ並べたカタチだからW。これは同じく2002年に発表された、パサートのさらに上の高級車フェートンがW型12気筒を積んでいたことに端を発しています。つまりVWグループの最上級モデルはVではなくWだと。お察しのいい方は既にお気づきでしょうが、グループの一員であるアウディの、A8の最上級モデルは今もW12を搭載しています。つまり排気量だけでなく、W8は紛れもなく高級車の証だったのです。

それが今やV型5気筒の、2WDモデルとほぼ同じ値段で買えるのですから、こんなおいしいことはありません。早速具体例を見てみましょう。2004年式のW8 4MOTIONが走行距離3.5万kmで158万円、同年式のV5が3.5万kmで157.7万円。いずれも修復歴&車検残なし。180万円もあった差は、わずか4年の歳月を経て消えてしまったのです!

中古車では、新車時のグレード間価格差が縮まることはよくあることですが、4年間で180万円が縮まることはそんなにはありません。これは推測ですが、4Lという大排気量が、このガソリン高で敬遠されたことが考えられます。さらに、そういったガソリン代も毎年の自動車税もものともしない人にとっては、パサートという記号より、もっとわかりやすく他人にアピールできる記号(どうせならもう1クラス上のメルセデス・ベンツEクラスを、とか)を求めるということも考えられます。

次ページで、本来あるべきはずの180万円の差をじっくりと見ていきましょう。