ご覧になられた方もいるかもしれませんが、4月28日付の新聞各紙に以下のような報道がされていました。ここでは日本経済新聞の記事を抜粋して紹介します。
「中古車の買い取り・販売大手のガリバーインターナショナル(東京都千代田区)が、中古車を販売する際、決まった額以上の「自動車取得税」を販売価格に上乗せして購入者からとっていたことが27日、同社の内部調査で分かった。(中略)同税は車の型式や年式、オプションなどで細かく定められているため、社内のマニュアルではその都度、営業マンが陸運支局に確認することになっている。しかし顧客の指摘を受けて調査したところ、多くの店で、税額を確認しないまま自動表示額を購入客から受け取っていた。徴収不足も一部であったという。」
ガリバーは管理上の非を認め、確認が取れた顧客に対しては返金を始めたそうです。
この記事を読んだだけでは、単に「ガリバーが悪いことをしていた」と受け取ってしまいそうですが、恐らくこれは氷山の一角で、多くの中古車販売店で類似の事案が発生しているのでは、というのが私の予想。この事件の背景として、自動車の購入・所有には行政上の都合で様々な税金が複雑に課税されているということは見逃せない事実で、要は、税金のかけ方自体に今回の事件の遠因があり、ひいては中古車購入時の諸費用が不透明になる温床があると思うのです。
例えば今回問題となった『自動車取得税』ですが、この課税額の計算方法は複雑で、ゆえに陸運局に備え付けられている台帳を確認しないと販売店でも正確な額が出せないのが実際のところ。その仕組み自体もナンセンスですし、購入時には5%の『消費税』がかかっているのに、なぜさらに取得税が課せられるかの論理的整合性がなく、はっきり言って「取れるところから取っている」に過ぎません。
また『自動車税』は旧所有者と新所有者とで登録する都道府県が同一であれば、旧所有者に還付されない代わりに新所有者も新規で徴収されない税金なのですが、実際には多くの販売店で、前所有者がクルマを手放すときには「税金還付の権利は放棄する」旨の契約を結ばされる一方で、新所有者が購入するときには登録都道府県の変更有無にかかわらず徴収されるのが通例です。
同様のことは『自賠責保険料』にも当てはまり、売却時に車両代金と別に自賠責保険の未経過分を返還されることはまずありませんが、車検残のある中古車でも、購入時にはほぼ必ず「未経過“相当額”」という名目で費用を請求されます。
以上、どれも販売店のモラルの問題といってしまえばそれまでで、ユーザーとしての自衛手段としては、諸費用の意味を理解して領収書の受け取りを徹底する、ということになりますが、中古車業界として問題点を抜本的に解決するためには、ガソリン代に含まれる揮発油税等と合わせて、行政が自動車に対する課税体系を簡素化しつつ、還付方式の見直しなども含めて運用ルールも明示するしかないと私は思います。
新税制に関してはJAFなどの団体がしばしば有意義かつ具体的な提案をJAFメイト誌上などで行っていますし、最近では国土交通省なども期間を定めてインターネット上で広く意見を求めたりしていますので、興味のある方は日々情報をチェックし、積極的にこの問題に関して発言していただきたいと思います。
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