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悪いのはクルマ? それとも販売店? 事故車は何が問題なのか?

中古車を購入する際に最も気になるの事故歴(修復歴)の有無。なぜ事故車はそんなにも嫌われるのか、そして実際にどんな問題があるのかを考えてみる。

執筆者:大江 治利

中古車を購入する際にもっとも気になるのが「このクルマは事故車(修復歴車)なのかそうでないのか」ということだろう。巷には「事故車(修復歴車)を見抜く方法」といった出版物や記事などがあるが、現実的に言って素人がそれを判断するは困難。中途半端な入れ知恵をされたがゆえに、かえって粗悪車をつかまされる可能性さえあるのだ。

そこで今回はあえて修復歴車の判別法には触れず、なぜ事故車はそんなにも嫌われるのか、そして実際にどんな問題があるのかを考えてみよう。

なぜ多くの人が事故車(修復歴車)を敬遠するのかというと、端的に言って「品質が低いから」という現実的な論と、「キズものみたいだから」という感覚的な論があると思う。だが、自分の所有車で事故を起こしたからといって即売却する人は少なく、修理をした上で“修復歴車”に乗っている人はかなり多い。つまり、履歴がはっきりしてさえいれば修復歴車に乗ることにそれほど抵抗はないはずなのだ。

実際的に修復歴車はどこに問題があるのか?
要点をまとめると以下に集約される。

1.修復の技術が低い場合にはフレームの歪みが矯正されず、「真っ直ぐ走らない」「走行中にギシギシと音がする」「ドアのたてつけが悪い」「ボディの塗装状態がパネルよって異なる」などの問題が発生する。

2.もう一度事故を起こした場合のボディの強度に不安がある。

3.売却するときに査定価格が大幅に下がる。

4.修復された内容(技術や修復範囲)が素人には判別できない

逆に考えれば、「きちんと修復された事故車の品質は必ずしも低くない」「リセールバリュー(売却時の価値)を考えなければ損はない」ということでもあるわけだが、最大の気がかりは4の「素人には修復内容が判別できない」という点。そして、そこに付けこんで粗悪な修復歴車を騙すようにして売る業者が存在することが、事故車(修復歴車)にまつわる最大の問題なのだ。

中古車は世間が思っている以上に流動性のある商品で、その流通価格は市場での人気に大きく左右される。理由はともあれ事故車はイメージが悪い、ゆえに相場より安い値がつく。安く仕入れた修復歴車を、その事実を隠して売れば利幅が大きい。だから隠して売る業者が現れる・・・。それを買ったユーザーが後から修復の事実に気付き(多くは別件で修理に出した際や、整備に出した際に指摘されて発覚する)、さらに事故車のイメージが悪化するという悪循環が事故車を取り巻く現実。
最初からそうと知って修復歴車を購入した人は、仮に品質が多少低くても、購入した店に対して不満を漏らすケースは少ないと言われている。

ゆえに、中古車を探していてたまたま気に入ったクルマに修復歴があると分かった場合の判断基準は「店の人間の説明が信頼できるか」に尽きる。もちろん「絶対に事故車はイヤ」という意見を否定はしないが、価格などの諸条件と物件の品質・魅力が見合えば修復歴車は必ずしも忌避する存在ではないというのが私の意見。

ただ、騙して売ることは絶対に許すべきではないし、「このクルマは事故車ですか?」と聞いて「ちょっと当たってるけど・・・」とお茶を濁したり、根拠もなく「大丈夫、大丈夫」と言う店員を信用してはいけない、というのも私の持論。もし購入後にトラブルが生じたら、迷わず国民生活センター(03-3446-0999)や、全国各地の消費生活センターに相談してください。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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