ボディサイズが大きくなったのは残念
RAV4の初代モデルは都会派のSUVとして人気を集めたモデルですが、2代目モデルの頃になると日本ではSUVのブームが鎮静化して販売台数が伸び悩む結果になりました。アメリカやヨーロッパ、アジアなどでは引き続き人気も高くて良く売れているのですが、日本だけは苦戦しています。そんな中で登場した3代目モデルは世界ナンバー1のSUVを目指したとのこと。クルマの土台となるプラットホームを一新した上で、搭載エンジンは2.4Lに排気量アップして7速マニュアルモード付きCVTと組み合わせ、電子制御4WDのアクティブトルクコントロール4WDやサスペンション、ブレーキ、ステアリングなども新しくしています。さらに室内空間やラゲッジスペースを広げて使い勝手を向上させたほか、環境性能や安全性などもしっかり確保しています。
相当に良くなったクルマであるのは確かですが、気になるのはボディサイズが大きくなったこと。ボディは全体に大きくなっていて、それが室内の広さと快適性、安全性の向上にもつながっているのですが、全幅が1815mmに達するとさすがに日本市場にマッチしたクルマとはいえません。今年5月に発売されたスズキのエスクードも全く同じ全幅となっていますので、世界的にはこれくらいのサイズがちょうど良いのかも知れませんが、日本向けには手頃なサイズのクルマが欲しいと思います。
日本では先にアウトランダーが発売されたり、あるいはエクスプローラーがアメリカで大幅なマイナーチェンジを実施しているのでいずれは日本にも導入されるであろうことなどを考えると、当面、日本車と輸入車のSUV比率が高まる可能性があります。大きくて重いSUVが増えるのは必ずしも良いとは思いませんが、新型車が出れば一定程度に売れるのが普通ですから、今年から来年にかけてはSUVに注目しておく必要がありそうです。
そんな中で今日のRAV4の試乗ですが、3代目にして全面的に新しくなりました。ボディもサスペンションもエンジンもトランスミッションも新しくなったので、クルマとしては格段に良くなったのは間違いないでしょう。ただ、ボディサイズがまたしても大きくなって全幅が1815mmに達しています。この数字は奇しくもスズキのエスクードと同じですから、世界市場を考えるとこれくらいのサイズが必要ということなのでしょうが、その分だけ日本国内のことを考えないで作ったクルマと言うしかありません。
実際に乗ってみても大きくなったなあという印象を強くしました。運転席と助手席の間隔が開いたり、後席の居住空間やラゲッジスペースが拡大するなど、ボディの大きさには一定の意義がありますが、逆に失うものも多いことをもっと考えて欲しいと思います。