上質なインテリアが特徴のコンパクトカー
ティーダはクォリティ・コンパクトとして開発されたクルマで、後から登場してくるセダン版も含めて実質的にはサニーの後継モデルになるクルマです。インテリア回りの品質感などは確かにこれまでのコンパクトカーとは一線を画すものになっています。搭載エンジンも新開発エンジンに変更されていますから、どんな走りを示すのか試乗するのが楽しみなクルマになります。小さな高級車を目指したクルマとしては、今年はマツダのベリーサも登場しています。同じ時期に違うメーカーから同じような発想でクルマ作りがなされるのは不思議なようですが、けっこう多いものです。また小さな高級車というのは、昔からいろいろなメーカーがいろいろなクルマで挑戦してきましたが、ことごとく失敗してきたのが実情です。
ベリーサはそこそこ頑張っていますが、ティーダがどれくらい売れるかは興味があるところです。まあ日産の販売網で売るクルマですし、価格も中心グレードで本体価格が150万円と手頃です。マーチ/キューブのひとクラス上のクルマとなると、ティーダが選択されるのは当然ですから、当面は販売目標台数を軽く超えるのは間違いないでしょう。
日産の小型車ティーダは、後から登場してくる4ドアセダンのラティオを含めサニー系の後継モデルとなるクルマです。ただ、単純なコンパクトカーに仕上げるのではなく、インテリア回りの見栄えや質感にこだわった作りとして、走りに関しても質感を追求しているのが特徴です。特に運転席に乗り込むと、インパネ回りやドアトリムの素材など、全体に高い品質感が表現されているのが分かります。確かにコンパクトクラスの中では特筆されるものといえるでしょう。
走りに関しても新開発のHR15DE型エンジン+エクストロニックCVの組み合わせが、走りの質感を感じさせます。エンジンは80kw/148N・mというパワー&トルクの数字はともかく、中低速域でのトルク感にまずまず好感が持てます。競合車と比べて際立っているかどうかとなると、それほどでもないのですが、一定程度に良くできたエンジンという印象を与えます。
エクストロニックCVTの滑らかな変速フィールと合わせて、全体に気持ちの良い走りが得られます。CVTではエンジン回転と加速感との微妙なズレが違和感になるものですが、ティーダではその違和感も少なく仕上がっています。足回りは乗り心地を重視した柔らかめのものですが、後輪の追従性も良く安定性のレベルもまずまずです。全体的にもまずまずのデキという印象だったのがティーダです。
価格は試乗した15Gでは172.2万円と170万円台に乗りますが、中心グレードの15Mなら157.5万円(本体価格は150万円ちょうど)という手頃な設定です。さまざまな部分でコストダウンを徹底させることで、インテリア回りの品質感などにお金を回す余裕が生まれ、結果として従来と変わらない価格帯でこの品質感が実現できたのでしょう。ボディが日本では売れなくなっている5ドアハッチバックなので、爆発的なヒットにはなないものの、手頃な1台として安定した売れ行きを示しそうです。