
街中での乗り心地は固め。ガシッとしたボディのおかげもあり、ダイレクトなショックは丸めてくれるが、206や307のようなネコ足感は味わえない。しかしペースを上げると、路面の凹凸に合わせてしなやかに足が上下していることがわかる。スピードレンジが上がっているのだ。その真価は、山道でペースを上げたときにしっかり堪能できた。

電動パワーステアリングの反応は、同じシステムを使う1007と同じように自然。切ったときのノーズの動きは206や307よりおだやかだが、その後はフロントの重さを感じさせず、レールの上を走るようにコーナーを抜けていけるというプジョーらしさが味わえる。コーナー途中でアクセルを閉じたりしても、リアがズルッとすべることはない。街中では固いと思った足は、こうした場面ではしっとり動き、荒れた路面でもヒタヒタ接地し続けてくれる。だから安心して走りを楽しめる。

ここまで高速向きの足じゃないほうが好みという人は、遅れて上陸予定という1.4リッターモデルがいいかもしれない。あるいは307と同じように、マイナーチェンジでしなやかさをアップしてくるかもしれない。ただし現状でも、207シエロの走りはプジョーそのものだ。しかも内装、加速、ハンドリングと、あらゆる部分の質が上がっている。価格が近い307との比較では、スペースにこだわるなら307、スタイルとスポーツ性を重視するなら207になるだろう。