文章:森口 将之(All About「フランス車」旧ガイド)
今回の提携はGMの大株主である投資会社トラシンダが6月末に提案したもので、まずルノー・日産側が7月4日、この提案に前向きであるという態度を表明。続いてGMは7日の取締役会で、提携交渉に入ることを承認した。そして14日にはルノー・日産のカルロス・ゴーン社長とGMのリチャード・ワゴナー会長がトップ会談し、これから3ヶ月かけて、提携するかどうかを検討していくという声明を出した。
ルノー・日産側の発表によれば、今回交渉を進める提携の内容は、ルノーと日産の間で交わされている関係と同じ「アライアンス」で、双方が相手会社に資本参加をするという希望は持っているものの、合併や吸収という形はとらないという。世界一の自動車メーカーGMのプライドを傷つけないためにも、アライアンスという手法を提案したことは賢明だろう。
GMの経営状況が深刻であることは、みなさんもご存知のはず。とくに日本では、従来資本提携をしていた富士重工業、いすゞ自動車との関係を相次いで解消し、スズキとの提携規模を大幅に縮小したことで、厳しい状況にあることが一気に知れ渡ってしまった。
そんな状況にあるGMと手を結ぶのは危険な賭けだという声もある。しかしそれは、ルノーとアライアンスを結ぶ前の日産もそうだった。今回の提携に前向きといわれるゴーン社長が、彼なりの経営改革を行えば、必ずGMは復活すると確信しているのだろう。でなければ、GMよりも前に提携に前向きであるという意思表示はしなかったはずだ。