アンドレとエドワールのミシュラン兄弟が、既存のゴム工場の経営に加わり、社名をミシュランとあらためたのは、いまから110年以上前の1889年。それまでこの工場では、チューブやバルブなどを生産していた。しかしミシュラン兄弟は、今後は輸送機械が主役になると信じ、まずブレーキパッドの生産を開始。2年後に自転車用タイヤを登場させた。
ミシュランの自転車用タイヤは、それまでのタイヤと違っていた。それまでのタイヤはホイールに接着する方式で、交換にはひと晩かかった。ところがミシュランのタイヤはこれをビス留めとすることで、わずか15分で交換できるタイヤを開発。この年の自転車レースで、このタイヤを装着した選手が優勝したことで、一気に知られる存在になったのだ。
自動車用タイヤを手がけたのは1895年。この年のパリ~ボルドー間往復レースに使われ、完走をはたしたそのタイヤは、自動車用としては初めての空気入りタイヤだった。その後もレースでの勝利によって、ミシュランの知名度は高まっていった。モータースポーツでの活躍が宣伝につながったというのは、自動車メーカーと同じだ。