このクラスのミニバンは、サードシートを立てた状態のラゲッジスペースは狭いことが多いのだが、グランセニックは200リットルの容量がある。サードシートを畳めば容量は最大で605リットルに広がり、セカンドシートをすべて取り外せば1920リットルにもなる。さすがはバカンスの国で生まれたクルマだ。しかもリアゲートはガラスハッチつきだから、狭い場所でもアクセスできる。
2.0グラスルーフの車両重量は1620kgもあるのだが、3名乗車でも、アクセル全開になるのは上り坂や高速道路の追い越しだけで、平坦地ではむしろ余裕を感じるほどだった。クルマの性格のためもあるのだろうが、ATが4速だということもあまり不満には思えなかった。音は3000rpm付近で少しこもり気味になるけれど、100km/hは約2700rpmだから気にならず、快適なハイウェイクルーリングが楽しめた。
乗り心地はメガーヌ・ハッチバックの2.0に似ていて、低速では少し硬めに感じるけれど、60?/hあたりからそれが消え、心地よいフラット感とゆったりしたストロークをおりまぜた、ルノーらしいフィーリングになる。もちろん直進安定性は抜群。どこまでも走り続けたくなるような気分にさせてくれる。それでいてハンドリングもけっこうレベルが高い。ロールはするけれども粘り強いグリップのおかげで、予想以上のペースをキープできるのだ。
ヨーロッパのメーカーでは初めてミニバンを手がけた経験の長さと、バカンスの国で生まれたクルマらしい実用性、そして距離を重ねるほど良さがきわだってくるルノーらしい走り。こうしたファクターがミックスしたグランセニックの実力が高いのは、当然かもしれない。わずか1日のドライブでも、ヨーロッパでこのカテゴリーのベストセラーであり続けている理由が、はっきりわかった。
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ガイド記事:フランクフルトショー・レポート3:グランセニックとメガーヌRS
ガイド記事:ジュネーブショー・レポート3:メガーヌ2クーペカブリオレとセニック2
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