メガーヌRSは足回りにも大きく手を入れている。低く固めた(車高は10mm落ちている)だけでなく、フロントサスペンションはステアリング系をストラットから切り離した「ダブルアクスルサスペンション」と呼ばれる専用設計として、サブフレームにはクロスメンバーを追加するなど、大改造を行っているのだ。
ステアリングは電動アシストのクセがほとんど感じなくなり、剛性感が格段にアップ。そしてコーナーに入ると、ハイパワーの前輪駆動車にありがちなトルクステアを感じない。ESPは作動ポイントが普通のメガーヌより高めてあるが、いざというときにはタイヤの滑りをたくみに抑えてくれる。ブレンボ製キャリパーとディスクローターをおごったブレーキの効きは、すばらしいのひとこと。持ち前の速さを気持ちよく安心して楽しめるクルマだった。
日本仕様で注目したいのはホイールとタイヤのサイズ。本国仕様の225/40R18から225/45R17になっているのだ。見た目重視で大径ホイールや太いタイヤをチョイスすることが多い輸入車としては異例。でもこのおかげで、日本の道でも固めながら快適な乗り心地と、反応の鋭さより感触の心地よさを重視したルノーらしい身のこなしが味わえる。インポーターの選択に感謝したい。
ハタチそこそこの僕だったら、メガーヌRSは音はけっこう静かだし、鋭いレスポンスを持っているわけではないし、ここまで感動しなかったかもしれない。でも40代のいまの自分には、そういったうわべの部分よりも、奥の深い走りで勝負するこのクルマが、とてもしっくりくる。まさにおとなのホットハッチだった。
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