音は、ボリュームはルーテシアほど静かではないが、音質が変わった。のどかでまろやかだった音が、緻密できめ細かいサウンドになったのだ。旧型のほうがカングーに似合っていたような気もするが、加速の違いを味わってしまうと、新型のほうがいいかなと思ったりした。
足回りは旧型より固め。うねりを乗り越えたときのフワッという動きや、コーナーに入ったときのしんなりしたロールは、あまり感じなくなった。ちょっとさびしくも思えた。でも乗り心地そのものでいうと、細かい上下動がほとんどなくなり、フラットになったおかげで、むしろ良くなったのでは?とも感じられた。
ルーテシアに近づいたともいえるが、違うところもある。電動パワーステアリングとトーションビームのリアサスペンションを持つルーテシアが、ちょっとドライな乗り味なのに対し、油圧式のパワステとトレーリングアームのリアサスを持つカングーは、昔のルノーが持っていた少しねばっこい、しっとり感を残しているのだ。
全体的に大人っぽいクルマになった。顔つきもそうだし、余裕と落ち着きを手に入れた走りもそうだ。旧型が持っていた世界が好きな人もいるだろうけど、6年間で120万人というユーザーのほとんどは、今回のような進化を歓迎するはず。観音開きやサンルーフも選択できるようになったし、あとはMTが選べるようになれば、個人的にはいうことないんじゃないかな、と思った。
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