国産V6ユニット最高峰に進化
セダンのVQ35HRと同じく、左右完全対称吸排気システムを採用。さらに、アクセル開度に応じて吸気バルブの作動角とリフト量を連続的に変化させ、吸気抵抗の低減と、吸気レスポンスを飛躍的に向上させる「VVEL」を採用。最高出力245kW[333ps]、最大トルク363Nm[37.0kgm]を発揮 |
そして、走りのフィーリングについて。先代のV35スカラインクーペは、エンジン、ステアリングフィール、ハンドリング、乗り心地、静粛性など、荒削りな面は多々見受けられたとはいえ、「グランツーリスモ」を色濃く感じさせるクルマ。けっこう好きな1台でした。
それが新型V36では、「洗練された」と表現できる仕上がり。運転して、まず違いを強く感じさせるのがエンジンです。セダンも「VQ35DE」から「VQ35HR」という、ハイレスポンスを謳う新開発パワーユニットへと進化しましたが、クーペにも「VQ37VHR」という新開発のユニットが与えられたのです。
ブレンボではなく、国産有力メーカーによる新開発4輪アルミキャリパー対向ピストンブレーキをタイプS系グレードに標準装備。ディスクローター径はフロントφ355、リアφ350と非常に大径 |
違いをわかりやすくいうと、200cc排気量が拡大したこと、そして「VVEL(バルブ作動角・リフト量連続可変システム」という新機構を採用したことが大きなポイントです。セダンの「VQ35HR」に対し35%もの部品を新規開発といいます。
ちなみに「VQ」というパワーユニットは、これまでもアメリカの「10ベストエンジン」に毎年選出されたほど、高く評価されているエンジン。とはいえ「フィーリングはややガサツ」という声があったのも事実。そもそもエンジンは、クルマを「感じる」上で、もっともわかりやすい部分。しかもスカイラインは、かつて「ストレート6」で名声を獲得したクルマ。それが、V6になってフィーリングがよろしくなかったら、とやかくいわれてしまうのもやむなしでしょう。
このフィーリングですが、セダンがモデルチェンジ時に「DE」から「HR」になって、ずいぶん改善されていはいたものの、根本的な改善にはいたっていないというのが正直な印象でした。ところが今回クーペに搭載されたユニットのフィーリングは格段によくなっていたのです。
結果的に、VQ37VHRはV6エンジンとして日本車でトップの感覚を身に着けたと感じています(ちなみにこれまではVQ35HRが出てもなお、レクサスISやクラウンに搭載する2GR-FSEが国産V6ナンバーワンだと思っていました)。世界的にも屈指のレベルの仕上がりと感じました。
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