クーペ専用に仕立てた内外装
全体に抑揚があり、優雅かつ流麗にクーペスタイルを印象づけるシルエット。ホイールベースはセダンと同じ2850mm。価格は369万6000~447万3000円 |
スカイラインというと、長い歴史と数々の栄光の伝説を誇る、日本車の中でも屈指の「名車」ですね。セダンのフルモデルチェンジから約1年遅れて、V36スカイラインクーペがついにデビューしました。セダンと共通のイメージで仕立てられたエクステリアですが、実は共通部品はドアハンドルとサイドマーカーのみ。クーペに相応しく、セダンよりもワイド&ローイメージが強調されているのは一目瞭然です。インテリアもセダンに通じるデザイン&レイアウトとし、さらにセダンにはないカラーコーディネートをラインアップ。上質かつ優雅で、クーペらしいスポーティな雰囲気を備えています。
上質さを演出するカラーコーディネーション
高級家具にも用いられる「ビュバンガ」を使用した、メーカーオプションの本木目フィニッシャー仕様。赤みを帯びた木目が印象的 |
ところで、かつてのスカイラインというと、いわばちょっと「ワル」な雰囲気が受けていたことも事実でしょう。しかし、以前は国内専売モデルだったのに対し、先代V35スカイラインからは、インフィニティブランドの中堅モデルとして、北米市場を主軸に捉え、それを前提として開発されています。よって、従来のスカイラインとはガラッと雰囲気が変わりました。このクルマに日本車離れした雰囲気があるのはそのためでしょう。そして、北米において、V35~V36は同カテゴリーで幅を利かせていたBMW3シリーズを凌駕するほどの大成功を収めていると伝えられます。
反面、V35以降のスカイラインは、日本では旧来のファンから賛否併せてとやかくいわれています。しかし、「是か非か」の論争の結論を語るには今しばらく時間が必要なのではないでしょうか? もっと時間が経過して、評価が固まってから評価すべきだと考えています。
本木目フィニッシャーとの組み合わせとなる「フォーブ」色の本革シート。タイプSPおよびタイプPのAT車で選択可能 |
さてV36のクーペ。堂々たるボディサイズは、日本車の中ではかなり大柄に見えますが、北米では「この価格帯で、堂々たるサイズを持ち、走りがよく、スタイリッシュなクーペ」として人気を博しているのです。そういえば筆者自身も、先代のV35時代からスカイラインクーペが街を走る姿を見かけると、思わず目で追っていたものです。それがさらにスタイリッシュになったのですから、今後はV36クーペを見かけると、もっと「羨望のまなざし」で見つめてしまうことでしょう。
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