いかにもマスタングらしい大らかな走り
ロングノーズ&ショートデッキとした伝統のプロポーション |
先述のとおりクーペのエンジンはともに新開発の4.6L V8と4L V6の2種類ですが、せっかくマスタングを買うんだったら、断然V8をオススメします。V6でも4Lの排気量があるので、動力性能面での不満があるわけではないし、ほとんど標準装備品の差異もありません。しかし、タイヤ&ホイールやフォグランプなど、けっこう重要な部分が違うし、やはり「アメリカンV8に乗る!」という「自己満足」も大事なのでは? 日本であえてマスタングに乗るのだから、やはりここはぜひV8を積む「GT」を選びたいところです。
今回、V6もヘッドがOHVからSOHCとなりましたが、V8については先代よりすでにSOHC化されています。エンジンを始動すると、今どきの静かなクルマに慣れていると、ちょっと驚くほどエンジン音が室内まで聞こえてきます。これを「騒々しい」と思う人はマスタングオーナーには不向き。むしろマスタングをより楽しむ上での心憎い演出と捉えるべきでしょう。
新開発エンジンとはいえ、フィーリングはアメリカンそのもの。ドロドロとしたV8サウンドを轟かせながら、低回転から力強いトルクを発揮します。
足まわりは、フロントがマクファーソンストラットで、リアはフォードいわく「ファンの要望に応えるべくあえて採用した」というリジッドアクスルとなっています。
古典的メカニズムは、他の最新モデルの水準からすると、乗り心地や操縦安定性云々を語るには厳しい面もありますが、そこはすべてを忘れさせて、「楽しい」と感じさせてくれるのがマスタング。細かいことは気にせず、走って楽しめればイイんです!
アメリカンマッスルカーらしい大らかなドライブフィールがマスタングの持ち味。逆に、ドイツ車のようなカッチリとした乗り味を望む人には、マスタングのそれは納得できない面もあることでしょう。
とにかく、あまり細かいことにこだわらず「マスタングが好き!」というだけで、手に入れる価値のあるクルマだと思います。
コンバーチブルの絶大な開放感
スタイルと走行性能を両立させるべくコンバーチブルも高剛性ボディを実現 |
クーペとコンバーチブルでは、価格差が70万円。ちなみに車重差は60kgとなっています。ルーフをなくしたことへのボディ剛性確保のため、各部に部材が追加されているそうです。
微妙なところでは、風の巻き込みを抑えるため、コンバーチブルのリアシートの背もたれの角度が立て気味になっています。とはいうものの、やはりこれだけ開口面積が大きいと、風の巻き込みは起こります。
開放感はさすが! 最近では電動ハードトップの採用により、どうしてもルーフの形状が制約され、Aピラー後端が前席乗員の頭上まで伸びたモデルが増えてきています。そんな中、マスタングの開放感は「貴重」といえるレベル。フロントウインドウがドライバー&パッセンジャーよりもずっと前方にあり、頭まわりをさえぎるものがないのですから。この開放感は非常に魅力的です。
コンバーチブルトップは電動開閉が可能で、Aピラー後方上端の左右に設けられたレバーを解放し、スイッチを操作します。最新モデルではレバー操作すら不要となったモデルが多いですが、これだけシンプルな操作でOKであれば、とくに不満はありません。
クーペも捨てがたいし、コンバーチブルも魅力的だし、大いに迷うところ。ですがここはひとつ「4人が乗ってオープンエアモータリングを楽しめる」という希少性を買って、コンバーチブルを選びたいところです。
マスタングの象徴である「ギャロッピングホース」がルームミラーの上にも |
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