輸入車/注目の輸入車試乗レポート

クライスラー・ボイジャー試乗 元祖ミニバンがマイナーチェンジ

983年にミニバンを登場させて以来、世界100ヶ国で累計1000万台以上のミニバンを販売。そのクライスラーの看板モデル、ボイジャーの2005年モデルを試乗。国産ミニバンと一味違った雰囲気が楽しめる。

執筆者:川島 茂夫


クライスラーの言によれば「ミニバン」は1983年にクライスラーが初めて世に出したという。国産車ファンにしてみれば「ミニバンという名称こそ使っていないが、日本には1BOXワゴン以来の伝統がある」と言いたくもなるが、いわゆる多人数乗車の多目的ワゴンを世界的に認知させたのが北米市場だったのは間違いない。

試乗したボイジャーの2005年モデルは、いわば元祖ミニバンの正統な後継車である。2005年モデルの特徴はフロントマスクの変更くらいだが、大きく開き存在感を誇示するラジエターグリルやキリっとしたヘッドランプグラフィックで随分と精悍さが増している。先に登場したクロスファイアーと共通したデザインコンセプトだが、ふっくらとしたボイジャーと組み合わせると精悍さの中にも愛らしい雰囲気が漂う。

走行メカニズムや機能に目立った変更はなく、ロングボディのグランドボイジャー共々全4モデルを導入。いずれも右ハンドル仕様である。

全長が5m近く(標準ボディ)、全幅はほぼ2mという堂々たる体躯。最小回転半径は5.9mもあり、狭い場所での取り回しでは苦労させられるが、アメ車とはいえ右ハンドルを採用しているのが救われる。

車体がデカイだけに、乗り込むと「意外とふつう」の印象。ボディサイズ面を上下に強く絞ったスタイル、内装のトリムもボリュームのある立体的なデザインである。ギリギリまで広くしようとは端から考えていないのは明白。大柄な男性でも6名がゆったりと過ごせるキャビンスペースを確保したうえで、無理のないボディサイズに仕立てた感じである。

セカンドシートはキャプテン仕様。しかも試乗したLXプレミアムは革張りシートを採用。寸法使いにギスギスした感じがないことやシート周りの雰囲気が、何とも寛いだ雰囲気を出している。座り心地はフロント/セカンドシートならサイズも着座感も「ゆとりのパーソナルスペース」といった感じだ。サードシートは平面的なクッションで着座姿勢の自由度も低く、随分と座り心地に差があるが、寸法のゆとりが車格を思わせる。

ただ、ことさらに高級感を狙ってはいない。インパネやトリムの造作は樹脂の質感が強く、パネル合わせの精度感も国産車ならば4気筒の実用車レベル。サイズやシートで贅沢をしても、北米では生活に密着したクルマなのが伝わってくる。

走り出しても同様の印象だ。搭載エンジンは3.3LのV6だが、日本ではちょっと見かけないOHVを採用する。最高出力も174psである。スペックよりも実利を求めた設計である。実際に走らせてみると、発進時の踏み込み加速や低回転域でのトルクに余裕があるため、11kg/psに近いパワーウェイトレシオから想像するよりも軽快に加速する。国産車のV6と比較するとエンジンフィールにもっと軽快感と滑らかさが欲しくなるが、巡航静粛性は悪くない。加速騒音もちょっとざわつくものの、ミニバンでは十分なレベルである。

ハンドリングもあまり車重を感じない。中立付近から回り込みがよく、サイズに似合わずメリハリの利いた操舵感覚である。高速域では重量感のある揺れを感じるが、神経質にステアリングを抑え込む必要もなく、気軽なクルージングができる。細かな凹凸の突き上げが多少目立つが、乗り心地は思いの外に引き締まっていて、路面のアンジュレーションでも不安定な揺れを残すこともなかった。

使い勝手でも走りでも目立って優れた部分はない。経済性と実用性を考えると国産ミニバンには及ばないのも事実である。ただ、国産の上級ミニバンを乗り継いできて飽きてしまったドライバーが目先を変えるにはちょうどいい。アメ車の大らかさとゆとりを楽しめるミニバンである。
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