ティグラには、1.4/1.8Lの2種類の直列4気筒エンジンが用意される。1.4Lは新開発のツインポート・エンジン、1.8Lは従来から他車種に搭載されるものと同様である。そしてこれらのエンジンに組み合わせられるトランスミッションは、基本的には5速MTとなるが、他に2ペダルMTのMTAが用意されるのが特徴だ。ただし今回の試乗車は通常のMTのみだった。
早速走らせてみることにしよう。まずは屋根を閉じたまま。この時に印象的だったのは、クローズド時の静粛性に優れていたことである。この辺りはさすがに後発車種。というのもプジョーの206CCなどでは、路面の荒れたところを通過すると、屋根回りからキシミ音が聞こえることもあり、さすがに剛性的にはややツラいかな、という感もあったがティグラではそれが皆無だった。もちろん宇ローズド時にはクーペ的な走りを感じさせるだけのカッチリ感も生まれていた。これも好ましい印象を与えた要因といえるだろう。
そしてオープンにすると、一瞬にして気持ちよさが溢れ出す。
特にティグラの場合、クローズド時にクーペ的な印象を強く与えてくるために、屋根を開けた時の「変化」は同様のシステムを持つ他車種より大きく感じる。屋根を開けた時にはメタルトップを採用するモデルに共通するように、Aピラーがドライバーの頭の上に覆い被さるような形状となるわけだが、ティグラではそれが差ほど気にならなかったことも報告しておきたい。
エンジンは1.4/1.8Lの両方を試した。第一印象としては1.8Lの方がパワーもあり、元気が良くてこのクルマのキャラクターを引き立てていたといえる。もちろん1.4Lでも十分にキビキビと走れるだけの性能を持っているのだが、オープン2シーターならではの走りの爽快感を高めるのは1.8Lの方といえるだろう。それに比べると1.4Lは加速などにほのぼの感が漂う。もっともこれはこれで可愛らしいティグラの雰囲気に合っているともいえるわけだが。
ハンドリングに関しては、ボディ形状の影響をあまり受けていないように感じる。というか、キャラクターとしてガンガン走らせるタイプではないだけに、ボディ形状の影響まで考えるような走りにはなりにくいのだ。
ただ、それでもしっかり感は高く安心して舵を入れていくことができる設定といえる。ステアリングは電動パワステを採用するが、それによる操舵の違和感もほとんど払拭されている。軽やかな操舵感にもかかわらず、きちんとした手応え感が実現されており、ストレスを感じることなく操舵できる。