また歴史の中では、改革の試みも当然あったわけだが、果たしてそれらもやはり台所事情によって断念せざるを得なかった。例えばレガシィは2代目モデルでは、3ナンバーサイズの高級車として企画・開発がかなりのところまで進んでいたが、当時の経営状態から急遽それは見送られ、現在のクラスにとどまる決定が下されたのだった。またインプレッサでは当初、直列4気筒エンジンの搭載が計画されていたが、これもやはり様々な事情から見送られた経緯を持っている。もしこのときに直列4気筒が搭載されていたならば、現在のレガシィにもそれは大きな影響を及ぼしていたに違いない。
つまり自動車メーカーとしての規模の小ささが、独自のメカニズムの継続を必然的なものとした経緯がある。それが長年に渡って続いたことによって、いつしかレガシィはもちろん、スバルという自動車メーカーそのものにまでブランド性が生まれたのだった。
さらに言及するならば、水平対向エンジンとAWDという独自のメカニズムが、小さな規模の自動車メーカーの台所事情によって継続されたために、「プレミアム」という付加価値を生み出すことにもつながろうとしている。
世界中を見渡した時、プレミアム・ブランドといわれる自動車メーカーは、規模としては大きくなく、かつ独自のメカニズムを継続して作り上げたブランド性の強いクルマをラインナップしている。スバルはそんな時代の流れにも乗った自動車メーカーとなったのだ。
水平対向エンジンとAWDという独自の組み合わせが日本の自動車メーカーとしては珍しいブランド性を築き、さらにそれを培ってきたスバルそのものをプレミアム・ブランドへと押し上げようとしているのである。4代目となるレガシィは、そんなスバルの今が反映されたプロダクトとなった。
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