走り出してからわずか1分も経たないうちに、「ああ、これだ」と思った。BMW・Z4の走りは、まさにオープン2シーターとして理想的なものだったからだ。
どんな風に理想的だったのか? ひとことで言うならば「適度に肩の力が抜けていた」というのが相応しい。つまり、肩に力が入りすぎて過度にスポーツ性を感じさせるのでもなく、逆に肩の力をすっかり抜いたようなラグジュアリー過ぎる感じでもない。本当に「ちょうどいい」感触が漂っていた。この味付けに対してボクは、「さすがBMW。走り味の落としどころが絶妙だ」と思った。
もう少し走りを具体的にしてみよう。先代Z3はコンパクトで軽快そうな見た目の割に、走らせてみると意外にラグジュアリー感が強いオープン2シーターで、個人的にはやや物足りない感じを受けたことを覚えている。徹底した「しなやか路線」は決して悪いものではなかったが、スポーツ性や一体感は、もう少し高いものが欲しかった。
これに対してZ4は、明らかに高いスポーツ性を感じさせる一面を持つ。具体的にはZ3に対して、かなり一体感が高まっている。操作を行うと、クルマとドライバーが一緒になっている感覚が高く、とてもリニアな感じなのだ。先代Z3はしなやか感が強くボディの剛性感もやや低かったため、操作に対する反応は素直だったものの、いまいちピシッとした感じがなかった。しかしZ4では直進の状態からビシッとしていて、それが操作によってひとつの塊として動いている感じだ。
こんな風に書くと、なんだか随分スポーツ性ばかりが強調された味付けのように思えるが、実はそうじゃないところがZ4の「適度に肩の力が抜けている」部分である。
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