見た目と中身が高くバランスしている。つまり、デザインも走りも優れている。新生以来の日産の新型車には、どこかエクスキューズを付けなければ諸手を上げてオススメすることができない部分を感じていたが、このスカイライン・クーペに関しては自信を持ってオススメすることができる。
価格に関しても、個人的には良い設定だと思う。余りやすくては若い人たちが手を出しやすくなり、すると本来のイメージとはかけ離れたニーズを持つ存在になってしまうこともあるからだ(例えばRX-7はそういう存在だった)。価格はある意味車格を決めてしまうことも含め、この辺りに関してもやはりスカイライン・クーペは本格的な「クーペ」だといえる。大人のためのクルマという意識が感じられるような価格設定だと思う。
まずスタイリング。これは現代日産デザインが培ってきたものが見事昇華された感じがある。セダンではいまいち突き抜ける感がなく、逆にZでは行き過ぎた感があったが、クーペはその中間にある。ラインや面構成も、見ただけで何かを想起させる感じがしていい。この辺りはまさにクーペらしさで、どことなく豊かな感じを漂わせる。さらにこれまでの日産車では感じられなかった気品のようなものさえある。
スカイライン・クーペで唯一残念な部分はインテリアである。セダンとほぼ同じ風景は折角のエクステリアに相応しくない。本当にこの点だけが残念。ただ個人的には、日本においては唯一といえる本格的なクーペとして存在していることを考え、この点については強くは否定しない。まずは存在そのものが大切だと思える気持ちを優先しておきたい。
肝心の中身においてもスカイライン・クーペは素晴らしい。この部分に関しても、新生以来のベストといえる見事な着地点に到達したといえるだろう。
走りにおける全てが「ほどほど」の感覚を持っており、結果総合的には絶妙な仕上がりなのである。
走りにおいて光っているのは、操縦安定性と乗り心地の絶妙なバランス感だ。直進性は極めて高く、ハンドリングは意のまま、それでいて乗り心地は硬すぎず柔らかすぎずのスッキリした感じを常に保ち続けてくれる。
セダンやZでも謳われたフラットライドという概念があるが、それを最も良く表現できたのはこのクーペといえるだろう。