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ランエボ7ではAYC+ACDによって、時には物理の法則を無視しているようにすら感じられる、信じられないほど高い運動性能を発揮したわけだが、一方でこのシステムは操作に対する違和感を生んでいたのも事実。例えば操舵に対して、クルマの動きは非常に素早く、それが逆に操舵以上にクルマが勝手に動いている感じがあった。
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ただもちろん完璧なわけではない。比較的大きな操舵角が繰り返されるワインディングでこそ違和感は少ないが、高速巡航における車線変更や高速ワインディングなどでは、まだ若干の違和感もある。つまり高速で走行している時には、ある程度の浅い舵角ならば自然な感じが出せているものの、それ以上の舵角を与えた時に、急激に曲がっていく感じも否めないのである。しかし、これは難しい問題で、この点においても自然な感じを作り上げてしまうと、今度は逆にあまり曲がらないクルマという印象を与えかねない。その意味で今回のAYC+ACDのセッティングというのは大分苦労した上で導き出されたものだと思えた。
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昨年、トヨタとホンダは世界で初めて燃料電池車を市販して、この分野でJカーとしての立場を世界に知らしめたわけだが、その対極にあるランエボとインプという2台もまた、世界にJカーとしての立場を知らしめている2台のように思える。日本車が得意とすること、日本車らしい部分、そういったものが、ランエボには確実にある。そう考えると、この先の展開もまた、期待が持てるというものである。