8代目となったランサー・エボリューションは、このモデルからグローバルに展開されるようになったことが最大のトピックだと私は考える。通称でこそ「8」の数字を付けているものの、表記上はランサー・エボリューションのみで数字は付かない。これは世界へ向けたクルマとなったことで、その名を広く知らしめるためだという。実際日本以外の国へは、初めてのモデルとして送り出されるのだから。

そうした展開に伴ってか、車両説明の際には、「質感」という言葉が多く用いられていたのもこのモデルの特徴だといえる。

誰もが知るように、ランエボはコンペティション・ベースという成り立ちを持つクルマであり、これまで登場してきたモデルは、確かにナンバープレートこそ付いているものの、一般性という意味においては足りない部分があったことも事実。ハードなサスペンションによる乗り心地や、静粛性といった快適な部分に関しては、コンペティション・ベースだから、ということで割り切られていた部分もあった。性能と価格を考えれば、世界に類をみない非常に魅力的なクルマだっただけに、それでも納得できるクルマではあったが、やはり一方でロードカーとしての条件を考えた場合、その点は「足りない部分」だったこともまた事実である。

今回のモデルは、その点を強く意識した感がある。実際これほどまでに「質感」という言葉が繰り返されたクルマは、私の記憶では他にないほど。そう考えると、ランエボはこれまでの価格と性能における、尋常でないコストパフォーマンスだけでなく、新たなフェーズに入ったといえるだろう。そして実際に走らせてみると、そこにはこれまでとは一線を画す世界が広がっていた。

GSRで高速周回路を試す。加速感は相変わらず強烈の一言で、アッという間にリミッターが効く速度にまで到達してしまう。しかしこれまでと違うのは、そこに高い一般性を備えていることだ。静粛性の高さに始まり、乗り心地の良さ、直進性の高さなど、あきらかに先代にはなかった部分が顔を覗かせる。もちろんそれでもアコード・ユーロRやマツダ・アテンザといったいわゆるスポーツセダンからすれば、確実にハードでスポーツ寄りではあるのだが。

150-160km/h巡航では、それこそ片手でステアリングを押さえているだけで十分に安心感を伝えながら直進していく。この辺りに関しては、欧州車のような雰囲気があると報告できる。