コペンは車両重量がわずか800kgしかない。これがこのクルマの全てを物語っている。かつては800kg台のクルマは多かったが、今やかなり少なくなった。特にスポーツカーではアンダー1トンのクルマはほとんどなく、トヨタMR-Sくらいのもの。

で、800kgのコペンに乗って痛感したことは、やはり軽さというのは本当にスポーツカーにとって良いことなんだなぁということ。当たり前の事実なのだが、改めてそう思わされたのだ。

コペンはそのディメンジョンの小ささに加え、FF大衆車をベースとしていること、またオープンボディを採用したことなどによって、実は不利な部分が多くある。ディメンジョンの小ささは、スタビリティ的に不利だし、プラットフォームを共用するだけにいかんともしがたい部分もあるだろう。さらにオープンボディのため、剛性を確保するのも難しい。

実際に走らせると、そういう部分は確かに感じられる。特に剛性に関しては顕著で、あれだけ下回りに張りを入れたにも関わらず、振動の多くを伝えてくる。エンジンは特性を変更したとはいえ、660ccの呪縛である64psからは逃れられない。しかも低中速のトルクを厚くしているため、エンジンそのものは上まで回した時、大分苦しそうな感じもある。

しかし、である。そういったネガティブな部分は、軽さの前にほとんど帳消しになるといっていい。コペンで光り輝いているのは、そのコーナリングだ。速度自体は高くないが、ストレートを走っている状態からの減速幅が少なくコーナーに入ることができる。軽いからだ。

減速幅が少ないということは、体感としてのコーナリングはかなり速いものに感じられる。しかもコーナリング中のスタビリティはかなり高い。これも軽いからだ。

普通のクルマならば迷わず2速に落とすところでも、3速のまま行けてしまう。もっともこれは出ている速度が高くないということなのだが、体感としてはそういう風には感じない。

さらにコペンの軽さは、リアリティある操作感を生んでいる。小さく軽いため、全ての操作や路面からの入力などが、非常にダイレクトに伝わってくるのだ。例えばホンダS2000はダイレクト感が高くシャープなスポーツカーであることに間違いないが、同時に乗り比べるとS2000がセダンのようなコンプライアンスを持った動きにすら感じてしまうのである。

まるで手足の延長のようなこのキビキビした感覚は、本当に驚きを感じるほど鮮烈なものとして記憶に残る。

そう考えると、コペンの示すものは非常に大きい。軽さというシンプルな理由が、これほどまでに走りの気持ちよさを生むものなのか、という風にすら感じる。溢れるほどのパワーは確かに魅力的だが、それ以上に軽さは説得力を持つ。同じパワーウェイトレシオでも、軽量なクルマの方が圧倒的にスポーツ性が高いと良く分かる。その意味でもコペンの持つ意味は非常に大きい。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。