カーメンテナンス/車の点検ポイント

システム全体をトータルで行うのが大原則! ブレーキオーバーフォール2/2(2ページ目)

部分的に補修すると局所的に正常に機能することで何とか機能していた部分に一気に負担がかかるため、オーバーフォルするときはシステム全体をトータルで行う必要がある。

執筆者:鈴木 伸一

7.交換するピストンシールキット
これはフロントブレーキのピストンシールキット。左/右1台分で1セットで、スライドピンブーツも付属。一般に組み付け時に必要となるラバーグリスも付属してくる。キャリパーのオーバーフォール時はこれだけのパーツを交換するのだ。
8.ピストンシールを組み付ける
各部に不具合箇所がないか再度チェックし、OKだったら新品のインナーキットを使用して組み上げていく。まず、ピストンシールの表面に付属の「ラバーグリス」を塗布し、シリンダー内壁のシール溝にはめ込んでやる。
9.ピストンをセットする
ピストンの先端部がシリンダー底部に接して止まるまで、キャリパーホディにまっすぐ押し込む。正常ならスムーズに入るが、途中で固くなって入らなくなったときは傾いてるため、一度外してやり直す必要がある。
10.ピストンブーツをセットする
ピストン頭部にピストンブーツをはめ、外周のつばをシリンダー上端の溝にキッチリはめ込んでやる。この際、ブーツを傷付けないよう慎重に作業を進める必要がある。
11.スライドピンをセットする
スライドピン取り付け孔にピンブーツをはめ込み、スライドピンの表面にラバーグリスをたっぷり塗布。ピンブーツにまっすぐ押し込んでやる。
12.元通り組み付ける
これでブレーキキャリパーのオーバーフォールは完了。元通り組み付け、トルクレンチを使用してスライドピンボルトを規定トルクで締め付ける。
●エア抜き
1.ブレーキフルードを注入する
マスターシリンダーとブレーキキャリパーのオーバーフォールが完了して元通り組み上げたなら、リザーバータンクに新品のブレーキフルードを注入する。が、ブレーキラインを切り離してしまうとブレーキライン内のフルードは完全に空になり、エアが入ってしまっている。この混入したエアを放っておくと油圧の伝達力が極端に低下。ブレーキフルードに圧力が加わったときに、まずエアが圧縮されるためブレーキペダルの操作感はスポンジを踏み込んだような状態となる。このため、ブレーキ回りの分解・整備を行ったときは、作業の締めくくりとして必ず「エア抜き」を行わなければならないのだ。
2.エアを抜く
エア抜きは基本的に2人1組みで行う。まず、ブリーダーボルトに透明なホースを介してキャッチタンクを接続。助手に運転席に座ってもらう。その助手にブレーキペダルを数回ポンピングしてもらい、踏み応えがでてきたところで踏み込んだ状態で止めてもらう。その瞬間、ブリーダーボルトを緩めると、エアが勢いよく抜けてくるので、排出圧が弱まったらただちにブリーダーボルトを締め付ける。この一連の作業を、ブレーキフルードを補充しながらエアが出てこなくなるまで繰り返すのだ。が、作業中リザーバータンク内のフルードを空にしてしまうとエアが混入して一からのやり直しとなり、エアが抜けきれたかどうかの判断も慣れないと難しい。ハタから見ていると簡単そうだが、キッチリ行うためには経験が必要となるのだ。
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