
そこで、エンジンの回転力をベルトによって伝達することで、様々な補機類(パワーステアリングの「オイルポンプ」やエアコンの心臓部である「コンプレッサー」もベルトで駆動されている)を動かしている。このため、駆動ベルトに何か問題が生じると複数のトラブルが同時に発生してしまう。オーバーヒートと同時に充電不良を起こし、バッテリー上がりをひき起こすといった具合にだ。
さて、この駆動ベルトには駆動力をスリップすることなく伝達させるために、常に一定のテンション(引っ張る力)がかけられている。ところが、使用していると伸びて張りが緩み、スリップすることで伝達力が弱まってくる。経年劣化によって弾力が失われたときも、スリップしやすくなる。
そのようなトラブルを未然に防止するために、定期的な点検・交換を欠かすことができないのだ。ゴムを主体としている「ベルト」は年数が経過すれば確実に劣化するからで、もしも張りが緩んでいたときは、ただちに張り直す必要がある。そして、張りがOKでもベルト自体が劣化していたなら、なるべく早く交換したい。特に注意したいのが、ベルト裏面のプーリーとの接触面。表面に細かなヒビ割れがあったり多少でもほつれていたなら、ただちに交換するべきだ。出先で切れるようなことがあれば走行不能となってしまうからだ。

「Vリブドベルト」といえども安心は禁物!4~5万kmは楽に無交換で走ることができるものの、これ以上の距離を走ると急速に劣化してくるからで、耐久性とは別の意味での寿命が短くなってきてもいる。張りがかなり強く、使われる環境もより厳しなっているにもかかわらず、ほとんどのユーザーが手つかずで乗っているからだ。もしも心当たりがあって、少しでも長く乗る気でいたなら、十分注意したい。
なお、ベルトが劣化したり張りが緩むと、始動時や加速時に「キュルキュル~」といった異音が発生するようになる。これは「ベルト鳴き」と呼ばれる現象で、もしもこの手の異音が聞こえたときはただちにベルトのチェックを行ないたい。放っておけば駆動力の低下による不調や「ベルト切れ」の原因となるからだ。
●駆動ベルトの交換
1.駆動ベルトは複数セットされている

2.アジャスターを緩めて取り外す


3.劣化症状は裏面に現れる

4.ベルトをセットして張りを調整する

