カーメンテナンス/車の点検ポイント

フルードが減少したりベルトの張りが緩むと重くなる パワステフルードの点検

油圧式のパワーステアリングの油圧は専用のオイルポンプで発生させており、駆動力はベルトを介して伝達されている。このため、液量が減少したりベルトの張りが緩むと正常に機能しなくなってしまうのだ

執筆者:鈴木 伸一

 ステアリングの操作力を軽減するパワーステアリングは、エンジンの回転力で回す専用のオイルポンプで発生させた油圧を利用する「油圧式」が一般的だ。
 この「油圧式」のパワーステアリング、フルードが減少したりオイルポンプを駆動するベルトの張りが緩むと、確実にステアリングが重くなる。ところが、症状は徐々に進行するため多少の不具合があっても普通に走れてしまうから厄介で、メンテナンスを怠っているとある日突然、急激に悪化することがある。このため、正常に機能しているかどうか定期的に確認する「点検」が欠かせないのだ。
 油圧の伝達を担っているパワーステアリングフルードは「リザーバータンク」に溜められており、樹脂製タンクなら側面にレベル表示が。金属タンクの場合はキャップの裏側にレベルゲージがセットされていて、目視で液量をチェックすることができる。点検だけならものの数分とかからないので、月に1度くらいはチェックするようにしたい。
●パワーステアリングフルードの点検
1.まず、キャップの表記を確認する
パワーステアリングフルードが溜められている「リザーバータンク」は、駆動ベルトがかけられている補機類の周辺を探せば見つけることができる。注入口となるキャップの頭部には「POWER STEERING」といった表記が必ずされているので確認を!
2.金属タンクと樹脂タンクで点検方法は異なる
樹脂タンクで側面にレベル表示があるときは内部を透かし見ることでチェックできるが、金属タンクはキャップ裏にゲージが固定されており、ひと手間かかる。まずウエスを用意し、キャップを外してレベルゲージの先端に付着したフルードをウエスできれいに拭き取ってやる。
3.拭き取ったら一旦戻し、再度引き抜く
一旦、元通り差し込み、再度引き抜いたときに先端部に付着したフルード量をチェックする。
4.表記は2種類、走行状態に応じて見分ける
走行直後であればHOT側、朝一番ならCOLD側の上下のライン間に液面があればフルード量はOKだ。なお、下限付近まで減少していたときは(ATフルードが使用されている)補給が必要となるが、点検のたびに補充が必要になるなど減りが激しいときは、オイルポンプまでの配管とその接続部、およびポンプ回り。ポンプからステアリングギヤボックスまでの配管と接続部、ギヤボックス回りといった部分からのオイル漏れチェックを行う必要もでてくるので注意!念のためプロにチェックを依頼したい。
●駆動ベルトの点検
5.油圧ポンプを駆動しているベルトを確認する
次に、駆動ベルトの張りをチェックする。エンジン前方に複数本セットされている駆動ベルトのいずれかを辿っていくと、拳大の油圧ポンプが見つかる。配線類がいっさいなく、太い油圧ホースが2本が接続されているだけで、そのホースの先にリザーバータンクが接続されているので判別できるはずだ。
6.プーリー間を指で押してみる
油圧ポンプが判別できたら、駆動ベルトがかけられているプーリーとプーリーの中間付近を指で押してみる。目一杯押したときに10~15mm前後たわむ程度なら張りはOK。ブヨブヨしていたら調整が必要だ。
7.ベルトの裏面を確認する
また、駆動ベルトはプーリーと接する面が傷みやすいので、張りチェックと共に必ず裏返して亀裂や損傷の有無を確認したい。多少でもヒビ割れていたらアウト!交換が必要だからだ。なお、ステアリングをきったときにベルト泣き(ギュールルルという異音が発生する)が発生するようなら、ベルトが劣化している疑いが濃厚。単なる緩みなら張り調整で収まるが、交換が必要なケースも多々あるので、直ちにプロに点検を依頼したい。
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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