工夫は盛りだくさんだが
インテリアで目を引くのが、インテリジェントコントロールと呼ぶエアコン、走行モード兼用のディスプレイとオートバイのタンクをイメージしたという一体成形型のセンターコンソールの形状だろう。少しギミックに過ぎる印象があるが、オリジナル度は十分だ |
クルマを開発する際、ユーザーの人物像を作りあげることは珍しくないが、ジュークは、イギリス人の30歳独身男性であるウイリアムさんという実在する人を徹底的に調べて作りあげた。思い切ったマーケティング戦略のもと生まれたモデルだ。彼の愛車はもちろん、時計や家の調度品、友人などの人間関係まで調べ上げて作りあげたという。つまりジュークは、モノ選びやライフスタイルに自分なりのこだわりを貫き通し、自分の審美眼を大切にする人に向けたモデルだという。
その割には、メーターナセルのデザインやインテリジェントコントロールのデザインは子どもっぽい気もする。ゲーム世代やガンダム世代には好感を持たれるかもしれないし、最近のインサイトやCR-Zなどのホンダ車よりは若干大人っぽいといえるかも知れないが。インパネの質感やモノとしてのクオリティでいうならば、新型クロスポロよりも100万円安いのがよく納得できてしまう。
前席はSUVとしてはかなり低いが、セダンなどよりも少し高めのアイポイントと大きめのシートが特徴。後席は座ってしまえば頭上に余裕があり、足元も前席のスライド位置によっては身長171cmくらいならなんとか実用になる。急なゲストを迎える緊急用としては十分だが、ドアハンドルをリヤピラーに組み込んだ後ドアは小さく、後席の乗降性はもう少しだ |
車内もコンパクト
幅広の全幅はデザインのために使われていて、車内、とくに室内幅はディメンションから想像するよりも狭い。ただし、大人2人の空間としては十分で、後席も非常用としては用を足す広さを確保している。日本車でこれだけデザインに重きを置いてパッケージングをしているモデルは少ないので、ジュークの挑戦には拍手を送りたい。小さいサイズで大きな車内、デザインよりも広々した居住性を欲しいのなら他を当たってくれという思い切りの良さを感じさせる。思い切りといえば3ドアにして徹底してデザインコンシャスなモデルに仕上げてしまえばよかったのに! と思えたが、ビジネス上やはり5ドアは必要なのだろうし、一定の社会性も必要というのがマーケティングから得た答えだったという。
ジュークはコンパクトSUVに新しい価値、単なる広さや効率だけではない、所有する喜びや刺激を与えてくれるモデルなのは確か。好き嫌いがハッキリ分かれるが、独身やディンクスの方で個性的なコンパクトスポーツ、コンパクトSUVを探している人なら一考、あるいは試乗の価値は十分あるだろう。