輸入車/注目の輸入車試乗レポート

プジョー3008とBMW・X1どちらを買う!?

プジョー初のクロスオーバーとBMWのX1が約2か月違いで登場した。カタチは結構異なるが、プジョー3008もコンパクトSUV市場を強く意識しているはず。両者の違いとは?

塚田 勝弘

執筆者:塚田 勝弘

車ガイド

プジョー初のクロスオーバー

フロントビュー
プジョー3008は、ミニバン的な居住性とSUVテイストのエクステリアをまとったクロスオーバー。全長4365×全幅1835×全高1635mmはプジョー308よりも75mm長く、15mm広く、120mm高い。308SWと比べると150mm短く、15mm広く、75mm高い。全幅は15mmほどしか違わないが、プジョー3008の背の高さが分かる。価格は3008プレミアムが339万円、3008グリフが385万円
プジョー3008がデビューした。プジョー1007以来の4ケタの車名を採用したモデル名からも分かるように、3ケタのモデルとは違ったコンセプトを掲げていることが分かる。昨年のフランクフルトモーターショーで披露されたプジョー5008とともに、プジョーのマルチパーパスヴィークルシリーズに属する。

プジョー3008は、ミニバンやSUVのような余裕のある頭上空間と広いラゲッジ、モノフォルム的なスタイルを基調としてアンダーガードなどのSUVのテイストをふりかけたクロスオーバーだ。日本の輸入車マーケットにはなかった個性派だが、かつてのトヨタ・ナディアや日産ティーノを思い起こさせる雰囲気もある。

プジョー1007は、両側1枚ドアでしかもスライドというユニークな機構を備えたコンパクトカーで非常に面白い存在だったが、セールス的にはヒットとは言い難かった。プジョー3008もニッチな存在になるのか、それともスマッシュヒットとなるか!?

かなり戦略的な価格

リヤビュー
スタイルはSUV色をそれほど強調していないが、フェンダーの膨らみなど力強さは十分だ。とくに、大口を開けたフロントマスクは迫力があり、一方で後ろ姿は品良くまとまっている。背の高さは車内の開放感と荷室高に貢献している
プジョー3008をいま流行のコンパクト・ミドルクラスSUVとして捉えると、ライバルは結構多い。筆頭はデビューしたばかりのBMW・X1で、VWティグアンやルノー・コレオスと続く。他にもメルセデスのGLKクラスやアウディQ5、ランドローバーのフリーランダー2などが挙げられるが、価格差が大きくライバルにはなり得ないかもしれない。アウディQ3が登場すればサイズだけでなく、価格も近づくかもしれないが、まだ先の話。他にも数多い日本勢SUVもライバル候補になるかもしれないが、ユーザー層が大きく重なるとは思いにくい。

好みの分かれるスタイリングは置いておいて、プジョー3008の魅力を端的にいうと、失礼ながらプジョーとは思えないほどの高いボディ剛性感と快適な車内空間、1.6Lターボと6速ATのメリハリのある走り、多彩なモードが可能なラゲッジの3点に集約できる。

プジョー3008は、2列シートの5人乗りだから多人数乗車はプジョー5008か308SWに譲る。ボディ剛性感と快適な車内空間はなかなか魅力的だ。ボディ剛性感の高さは静粛性の高さや室内に座ったときの質感の高さに通じ、物理的なスペースも広い。大柄な人が4人乗車しても窮屈さを感じないはず。ヘッドルームはもちろん、横方向とレッグルームの余裕はプジョー308やプジョー308SWを上回るし、車内の開放感はBMW・X1やVWティグアンよりも高く感じる。

6速ATを得た走りもクオリティの高さを感じさせる。1.6Lターボはトルクフルで、パワーも必要十分だ。ターボによる過給のクセをあまり意識させず、街中でのストップ&ゴーを苦にしないし、ロングクルージングも得意とする。プジョーの4速ATは成熟の極みに達しているとはいえ、やはり6速ATのスムーズで静かな変速は“待望の採用”といえるだろう。

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