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アウトバック01 洗練の走りアウトバック(2ページ目)

新型レガシィ系統の目玉商品がアウトバックだ。ラフロードでの踏破性、キャビンの使い勝手も売り物だが、オンロードでの安心感が高くストレスの少ない走りも見逃せない。

執筆者:川島 茂夫

もうひとつ、ユーザーの期待値も影響している。B4はレガシィのスポーツ性の象徴であり、操舵や加減速を利用してひらりと向きをかえるハンドリングを好むドライバーが多いようだ。ラインコントロールに対してヨーの動きが大きいのは好ましいハンドリングではないが、操る手応えが楽しめる。これに対してツーリングワゴンは荷物の積載を前提に選ぶドライバーも考慮して、例え「ひらりと向きを変えて、4WDのトラクションで立ち上がる」というレガシィの走りを好んでも、荷室をかき回すが如きハンドリングでは困りものなので、その辺りの兼ね合いで操縦性も多少おとなしくなる。

ところが、アウトバックにはレガシィのスポーツドライビングの楽しさを期待するドライバーがほとんどいないという。先代ともいえるランカスターが、正しい道を歩みながらも一般受けしなかったため、B4やツーリングワゴンほど従来車ユーザーからはっきりとした要望が出てこない。ユーザーの期待が少なければ、造り手側の理想論とか本音のクルマ造りができる。冒頭で、アウトバックには外から受ける「レガシィのスポーツ性」という呪縛がないと述べたのはこのこと。

前述したとおりアウトバックはオーバーステアを嫌う。物理的に考えるならばアンダーステア、オーバーステアに入りやすいはずで、高い重心で悪路踏破性を考慮したタイヤでは前輪も後輪も腰砕けでズルズルと滑ってもおかしくない。コントロール性の高い弱アンダーステアを維持するのは相当厳しい条件にも拘わらず、アウトバックはそれをやってのけたのだ。

アウトバックのキャラに似合いの走り方ではないが、フルブレーキングから、ブレーキを残しながら回り込ませるコーナリングを試してみたが、操舵に応じてじわりと向きを変えながら、操舵に素直にコーナリングラインをトレースしていく。オーバースピード気味の進入では前輪の滑り量は増大するが、それに呼応して後輪も滑り始める。ジワジワの4輪ドリフト状態。もちろん、ステアリングは切り込んだまま。前後輪のグリップ(コーナリングフォース/旋回力)バランスは弱アンダーステアのまま。速度が高くなった分だけコーナリング半径が大きくなるだけなのだ。しかも、ジワジワと滑るタイヤの抵抗で速度が低下して、あれこれ修正操縦することもなく、適切なコーナリングラインへと戻っていく。

高い車高でソフトなサスチューン。そこで弱アンダーステアでまとめるのはかなり難しい。フロントを粘らせればオーバーステアに転じやすく、リヤのグリップを稼げば無反応なアンダーステアに陥りやすい。前後輪のストレスを安定させるのが難しいにも拘わらず、アウトバックのヨーの挙動は落ち着いている。

硬いサスチューンで詰めることなく、常に深いストロークを使うため操縦感覚は緩い。ゆったりとした乗り心地と操縦感覚は、裏を返せばルーズともいえる。もっとも、ビシッと締まってメリハリの効いた操縦感覚ではロングドライブでは疲れてしまう。もう少し据わりのよさも欲しいが、穏やか路線のまとめ方はアウトバックに似合いである。

乗り心地も穏やか、ドライビングのストレスが少なく安心感が高い。しかもラフロードも難なく走れて、キャビンの使い勝手はツーリングワゴンとほとんど同じ。実のところ現行レガシィ系統で最も感心したモデルがアウトバックであり、全天候オールロード・ツーリングカーとして国産車でも最も洗練された走りを実現していた。
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