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アウトバック01 洗練の走りアウトバック

新型レガシィ系統の目玉商品がアウトバックだ。ラフロードでの踏破性、キャビンの使い勝手も売り物だが、オンロードでの安心感が高くストレスの少ない走りも見逃せない。

執筆者:川島 茂夫


クルマにとって重心が高くなっていいことはない。車体の揺れをうまく管理すれば、ひょっとして乗り心地がよくなる可能性もあるが、大まかには「百害あって一利なし」である。

外観からして一目瞭然だが、アウトバックはレガシィ・ツーリングワゴンをベースに最低地上高を高くするという開発方法。これにより悪路踏破性を向上している。何度となく書いているが、一般的なアウトドアスポーツやレジャーのアシに本格クロカンの極限踏破性は不要であり、荒れた林道を楽に走れるくらいの踏破性を与えて、あとは乗用車としての基本性能の向上に向けるのが現実的なSUVのニーズに合っているはず。アウトバックはそのとおりのクルマである。

ただし、レガシィ・ツーリングワゴンと比較すれば、悪路踏破性の向上はそのままオンロードでの性能の低下に繋がる。何しろ、タイヤから先の部分が全部、ツーリングワゴンよりも高い位置にあるのだ。最低地上高の増大はそのまま重心高の増加になる。

悪くなって当然なのだが、意外や乗ってみるとバランスがいい。B4やツーリングワゴンに与えられた「スポーツ」の呪縛がないこともあるのだろうが、自然体の操縦感覚が好ましい。単純に限界性能を比較すれば、オールシーズンタイヤの装着もあってツーリングワゴンに及ぶべくもないが、懐の深さと安心感はツーリングワゴン以上といっても過言ではない。

ステア特性を一言でいえば弱アンダーステア。操舵に呼応してテールを振り込むような挙動を嫌った特性である。この辺りがアウトバックの走りで最も興味深い点である。

レガシィ・シリーズを乗り比べるとアウトバック、ツーリングワゴン、B4の順でオーバーステアに移行しやすい。本来ならばリヤオーバーハング重量が大きく、重心が高くなるほど振り込むような挙動が大きくなりやすいのだが、レガシィ・シリーズは逆なのである。つまり、意図的にB4はオーバーステア傾向が強められているわけだ。

ワゴン系をアンダーステア気味にまとめるのは、まったくの正論である。空荷でも後軸荷重とロール重心が高くなり、ましてやリヤオーバーハング上に積載荷物の重量がほとんど乗ってしまう積載状態で、オーバーステア傾向が強いと致命傷である。ヨー運動(車体の向きの変化)の収束性の著しい低下は高速安定で大きなハンデとなる。車高が高くなれば、安定性はさらに低下する。
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