2.5L/4気筒のQR25DE(163ps/25.0kg-m)を搭載したFF車のXと4WD車のハイウェイスター、3.5L/V6のVQ35DE(231ps/34.0kg-m)を搭載した4WD車のXの3車が試乗車となった。ミッションは4気筒車が電子制御4速AT、V6車はエクストロニックCVT(電子制御ベルト式CVT)を採用。4WDシステムは4気筒車が後輪駆動力制御にATC(オート・トルク・コントロール)カップリングを用いたオートコントロール4WD、V6車は電子制御カップリングを用いたオールモード4×4システムを採用する。

試乗印象の前にちょっとメカ解説をするが、オートコントロール4WDシステムは直列配置ビスカス4WD同様のスタンバイ方式であり、前後輪の回転差が生じた時のみ後輪に駆動力を伝達する。ただし、ATCカップリングはビスカスカップリングと構造が異なる。波形プレート(ハウジング) とそれによって稼働するプランジャーポンプを内蔵したローターで構成され、小さな回転差から大きなトルク伝達が行えるのが特徴。極低回転で作動する遠心クラッチのようなもので素早く反応する。ビスカス方式よりも4WDの効果を強めたシステムといえる。

一方、オールモード4×4システムは受動的に作用するATCカップリングを、能動的に作用する電子制御カップリング(多板クラッチ)に変更したもの。前後輪回転数差だけでなく、スロットル開度や速度などから走行状態に適した駆動力を後輪に伝達する。滑りやすい路面での駆動性の確保だけでなく、操安性の向上にも役立つのが特徴。重重量の大出力FF車の場合、前輪の負担が著しく大きくなりやすいので、4WD化にともない積極的に後輪にトルクを分配することで、操安性も向上するわけだ。

とはいえ、一般的な走行パターンで4WDのメリットを実感することは少ない。雨天高速高速走行も含めて、代表的な一般走行パターンで試乗してみたが、4気筒/V6の両4WD車がFF車に対して優れたシャシー性能を発揮することはなかった。

逆に乗り心地は4WD車が劣る。細かな路面の凹凸へのサスストロークの追従性が低下し、小さな穴を越えた時などの突き上げ衝撃も目立つ。また、細かく震えるような揺れも増加している。この揺れはパワートレーンの揺動と思われ、パワートレーン重量のかさむV6車のほうが強く感じられる。硬く感じられて、フルフルした揺れもあるわけだ。

それでもミニバン全般からすれば乗り心地は良好。高重心を硬めたサスチューンで誤魔化したような急激な挙動やボディの揺さぶりはない。しっとりとしたストローク感があり、車体挙動も腰が低く穏やかに感じられる。いわゆる乗用車らしい乗り心地だ。

これが4気筒FF車は、さらに洗練される。段差乗り越えのゴツっという突き上げ感やパワートレーンや車軸周りの揺れがミニバンとしては非常に少ない。微小ストロークから大ストロークまで連続して滑らかな動きを維持。雑味のないすっきりとした乗り心地なのだ。

ちなみに、シャシーは先に登場している上級セダンのティアナをベースにしているが、一般的にセダンよりも走りの質感が1ランク劣るミニバンにも拘わらず、プレサージュはティアナ以上にサスの動きが洗練されている。静粛性などの快適性全般の評価ではティアナに及ばないが、後から登場した分だけ確実にシャシーの熟成が進んでいる。

いい感じは乗り心地だけではない、ハンドリングも好感が持てる。一時、ニッサン車のハンドリングは初期回頭性ばかりで、軽快感はあるものの締まりがないものが多かった。前輪周りはグニャグニャで、後輪は過負荷になりやすくて安定性が低い。乗員は振り回されるような挙動に翻弄され、とくに後席乗員が堪らない。ところが、プレサージュは違っている。操舵初期から抑制の利いたロールとじわりと回り込む回頭性で、横G(遠心力)や挙動の急激な変化を抑えられている。滑らかでコントロール性のいい「弱アンダーステア」を示すのだ。前輪の負担を大きめにして、そのバランスを維持するタイプ。このタイプは操縦感覚が重々しくなりやすいが、適度に軽いハンドル操作力で気軽な運転感覚を出している。つまりは演出少なく正論で開発されているのだ。

こんなタイプなので、セカンドシートやサードシートに座っていても、変に揺さぶられないので乗り疲れしにくい。ただし、4WD車はコーナリング初期の後輪への負担増加(横G)が多少大きくなり、その分揺すられるような印象も高まる。車両挙動全体の滑らかさが低下するのだ。こう述べると降雪地域のユーザーならばFF車の操安と乗り心地、4WD車の雪上性能で悩むかも知れないが、それでもミニバン全体からすれば良好。雪道での4WDのメリットと引き替えにするほど大きな差はないので、安心して4WDを選べばいい。