さて、多くの人が気にする走りの核、動力性能だが、意外にパワフルで心地よく走れるのが4気筒車。2.5L4気筒はプリメーラやセレナにもあるが、これらよりも印象がいい。小アクセル開度でのトルクの立ち上がりと滑らかなコントロール性。高回転まで連続的な加速性の維持。全開加速時の振動騒音面のストレス。いずれもこなれた味わいの2L4気筒の特性に近く、そのままトルクを太らせたような感じである。さすがに連続高回転走行では4気筒の厳しさも感じるが、車格を損なうほどのことはない。手頃な価格とこの性能。プレサージュの4気筒FF車は上級ステーションワゴン型ミニバンの購入を考えているドライバーは筆頭候補の1車である。

モアパワー、となれば3.5LのV6車になるが、大排気量6気筒とCVTへの期待値が大きかったためか、正直「こんなもんかな」程度だった。3.5Lらしい悠々としたトルク、変速ショックがないCVT、これらは確実に車格感を向上する。しかし、深くアクセルを踏み込みエンジン回転数が高くなった時、ふだんの走りとのエンジン音のギャップが大きい。4気筒車よりも静かだが、そこは期待値大のため、どうしても「ちょっとうるさい」と感じてしまう。付け加えれば、アクセル開度の変化に対する加減速反応も敏感。よく言えばメリハリがあるのだが、てきとうにダラダラ走らせるならば4気筒のほうがいい。これも期待値とのギャップ。けっこう良いけど、4気筒車とあからさまな車格感のギャップはないのだ。

なお、試乗した4WD車とV6FF車の重量差は80kg(車重比約4%)。プロペラシャフトや後輪駆動系のため振動騒音でも4WDは不利である。FF車ならばもっといい感じになる思えるが、4気筒車のFFと4WDを乗り比べても、動力性能や振動騒音で劇的な変化はないはず。予算に余裕があればV6車を選ぶのもいいが、予算が厳しければ4気筒車をベースにオプションを充実させたほうが投資効果は高い。

最後に走りの「親切」の要点をもうひとつ加えておく。オプションで全車にカーウイングス対応DVDナビが用意されているが、セット装着でバックビューモニターとサイドブラインドモニターが装着される。バックビューモニターはナンバープレート部に装着したカメラにより、後退時の後方映像をインパネのディスプレイに表示するもの。車両幅のガイドラインも表示されるので後退での駐車では便利。この類の装備は一般化しつつあるが、もうひとつのサイドブラインドモニターはプレサージュならではの工夫。左ドアミラーにカメラを設置して、低速走行時に左フェンダー周りの映像をディスプレイに表示する。ドアミラーの幅のガイドラインの表示や夜間利用も可能な赤外線LED(不可視光線)など、なかなか凝った設計である。いささか大仰過ぎるような気もするが、使ってみればなかなか便利である。ただ、DVDナビのセット価格は45万円(Xは40万円)。価格を考えると悩んでしまう。

試乗した4気筒FF車は最上級グレードのXだったが、Vならば価格は21万円安い213.0万円。インテリジェントキーやエンジンイモビライザーはオプションになり、オーディオは標準装着。機能的にはXと大差ない。上級ステーションワゴン型ミニバンとして、室内機能や走行性能、走りの質感を価格と比較すれば、かなり買い得感の高いモデルである。ミニバン派に勧めやすく、同時に新生ニッサンのシェア回復の牽引役にもなりそうだ。
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