
ボディやキャビンの設計だけでなく、走りにおいても気軽で経済的なタウンカーと汎用性が求められるファミリー&レジャーワゴンの両立がモビリオの特徴といえる。

搭載エンジンはフィットと同じく、i-DSIを採用した1.5l。排気量が大きくなったこともあるが、フィットよりも力強さを感じさせるもの。フィットのほうが軽快、活発という言い方もできるのだが、車体サイズや乗車人数面で重量がかさみやすいモビリオには粘り強い力のほうが重要であり、動力性能の特性はそのとおりとなっている。
注目はフットワークの設定。ハードウェアではフィットをベースとしているが、乗り心地はフィットよりもソフトである。重心の高いクルマではボディの動きやコーナリングの安定を高めるために、硬めのサスチューンを採用することが多いが、フィットとモビリオの乗り心地を比べると、逆の結果となる。

ただ、サスチューンのまとめ所は、街乗り6、高速域4といった感じである。あくまでも街乗りで軽快さや乗り心地を損なわない範囲で、高速走行での安定性も高めたようだ。モビリオが対象とするユーザーの使用条件からすれば現実的なバランス感覚である。ただ、遵法ならば100km/h以上を出すことはないとはいうものの、高速での危険回避時のマージンを考えると、もう少し高速寄りのセッティングでもいいようにも思える。
それでもコンパクトで十分に大人6名が乗れる他車、アトレー7やエブリィ・ランディ、タウンボックスワイドと比較すれば、高速走行ではパワーも操安性も余裕を感じさせるもので、モビリオのアドバンテージと適応用途の自由度の拡大で重要な要素となっているのだ。
なお、月刊自家用車の3月号ではライバルを交えながらの詳細比較試乗が掲載される予定であり、現在その執筆準備中。さらに詳しくモビリオの実力を知りたいと考えているならば、同誌を一読して頂けると幸いである。