輸入車/注目の輸入車試乗レポート

すべてが新しいエクスプローラー(2ページ目)

ライトトラックをベースとしたアウトドアレジャー向けのワゴン。北米市場で始まったSUVも、すっかりと定着したが、その先駆けとなった1車がフォード・エクスプローラーである。その元祖SUVが、モデルチェンジを行っている。脱ライトトラックともいえる4輪独立懸架の採用など、乗用車としての基本性能や構造で大幅に進化。第二世代のSUVともいえるクルマに生まれ変わっている。

執筆者:川島 茂夫

搭載エンジンにはV8(エディバウアー)とV6(XLT)の2タイプがあり、どちらも大排気量エンジンならではの低中回転トルクに乗ったドライブフィールが特徴。高回転域を得意としたエンジンではなく、国産車のエンジンと比較すると高速域の加速の伸びやかさや、回した時の心地よさには欠けるが、ガソリン多気筒エンジンならではの素直で滑らかなエンジンフィールも魅力のひとつとなっている。

さて、エクスプローラーはアメリカンSUVに魅力を感じるドライバーにとって非常に魅力的な、手放しでその進化を喜べるクルマとなったが、これを一般的なSUVユーザーに勧められるかとなると、ちょっと話は違ってくる。日本市場を前提に開発した国産SUVのほうが一般性が高い、というごく当たり前の話でもあるのだが、やはりサイズや使い勝手が日本では一般的とは言い難い。

全長は4.8m強、全幅は1.9m弱。全長はクラウン相当で、全幅はクラウンよりも10cmくらい大きい。ちなみに、国産SUV最大級のランドクルーザー100とほぼ同じサイズである。このくらいのサイズになると、乗り慣れていても住宅地や込み入った場所での取り回しにはかなり気を使う。日常用途まで考えているドライバーには気になる部分だ。

また、従来型に比べるとスペース効率が改善され、室内が広く、床面地上高も低くなっているのだが、それでもアメリカンサイズといった感は強い。とくに床面高は小柄な人ならば乗降がちょっと面倒と感じるだろう。また、荷物の積み降ろしでも同様のことがいえる。

ただ、アメリカ基準と日本基準の差、いわば生い立ちの違いはあるが、エクスプローラーが乗用車としての実用性の向上に正面から取り組んだのは容易に理解できる。例えば、サードシートの居住性であり、ガラスハッチを備えたテールゲートにそれらが実感できる。

アメリカ基準は、日本の事情に合わない部分もある。エクスプローラーの主力市場が北米本国なのだから当然である。ただ、日本の一般的なSUVの考え方に合わせたならば、日本でのエクスプローラーの存在理由はなくなってしまう。アメリカンスタンダードがしっかりと息づいているからこそのエクスプローラーでもあり、それを前提として、このモデルチェンジは大いに歓迎されるものである。
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