輸入車/注目の輸入車試乗レポート

すべてが新しいエクスプローラー

ライトトラックをベースとしたアウトドアレジャー向けのワゴン。北米市場で始まったSUVも、すっかりと定着したが、その先駆けとなった1車がフォード・エクスプローラーである。その元祖SUVが、モデルチェンジを行っている。脱ライトトラックともいえる4輪独立懸架の採用など、乗用車としての基本性能や構造で大幅に進化。第二世代のSUVともいえるクルマに生まれ変わっている。

執筆者:川島 茂夫


乗用車としての基本性能の向上は次の世代のSUVにとって非常に重要なポイントである。いくらオフロードでの踏破性が高くても、オフロードでの走行時間は全体からすれば短い。しかも、クロカン競技のようなハードな悪路は、アウトドアレジャーに用いるにしてもほとんどない。だからこそ、最近では乗用車設計のSUVが人気が高いわけだ。現実的な用途を考えれば、そこに一番のバランスポイントがある。

新型になったフォード・エクスプローラーは、いわゆる悪路踏破志向あるいはライトトラックベースのSUVのハード&タフネスを捨てていない。乗用車型のモノコック構造に主流が移るなか、エクスプローラーは襲来モデルでも採用していたフレーム式のシャシーを採用している。しかし、リヤサスには新設計の独立懸架を採用。4輪独立懸架とすることで、操安性や乗り心地など脱ライトトラック化を図りながら、従来のSUVの長所も継承しているわけだ。

こういった設計思想は、現行パジェロも採用しているが、モノコックの乗用車型設計に比べると重量やスペース効率ではハンデがある。そういった面が大きく影響するオンロード走行だけを考えれば、決してうまい方法ではない。しかし、それはあくまでもSUVの用途を、ソフトなアウトレジャー志向ともいえるオンロード中心に置いた場合。この辺りがSUVユーザーのマジョリティだとは思うが、オフローダーとしての味わいや走りの楽しさを求めるドライバーにとっては薄味で物足りないと感じても当然である。

ここが新型エクスプローラーを考える時の要点である。いくらハード&タフネス志向といっても、高速道路での安定性やワインディングロードでの走りが犠牲になるのは、誰だって嫌なはずである。このポイントをエクスプローラーは4輪独立懸架の導入により大きく進化させた。

オンロード走行でのフットワークは、従来車の面影がほとんどない。画期的に進化したといってもいいほどである。ただし、これについては従来車のオンロードフットワークがよくなかったというべきであり、最近の乗用車設計の国産SUVと比較すると改善すべき点はある。しかし、揺らぐような揺れの減少や高速コーナリングでの姿勢安定、ライントレース性、フルブレーキング時の姿勢と方向の安定性など、いずれもレジャードライブに十分なレベルにあり、相対的な長短があったとしても、一般的な用途で気にするようなものではない。重厚で大らかな乗り味(アメリカンテイスト)を好むドライバーにとって、現実的なメリットを考えてもうまい所でまとめている。
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