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4輪レースファンのための2輪レース講座(6ページ目)

F1もSUPER GTファンも今年は2輪ロードレースを見よう!4輪レースファンのために2輪ロードレースの魅力を分かりやすくご紹介。レースの解説から代表選手の紹介、ライダーの驚きの逸話まで紹介!

辻野 ヒロシ

執筆者:辻野 ヒロシ

モータースポーツガイド

体にボルトが何本入っている?

激しいバトルはロードレースの魅力だが・・・
ライダーの転倒シーンはあまり見たいものではありませんが、大きな転倒をすれば当然、病院に担ぎ込まれ、即入院や手術を強いられます。レーシングライダーは非常に多くの危険が伴う職業ですが、その職業柄でしょうか、彼らは病院に行くことには慣れていますし、骨が何本か折れていようが平気で耐久レースに出場します。僕の仲良くさせてもらっているライダーの中にはレース中の事故で足を失ったにも関わらず、今も義足でレースに出場している人も居ます。本当に驚くべき世界です。

そして、大怪我をした際に、手術で体にボルトを埋め込むこともよくあることで、ライダーたちはシーズンオフにはボルトを抜くための手術入院を行いますが、彼らはブログで入院をよくネタにしています。体に入ったボルトの数や縫った跡の数はライダーの勲章だ、なんていう彼らにしか言えないジョークもありますが、ライダーたちは怪我の経験から自分自身のライディングの弱点を見つけだし、二度と同じ失敗をしないように成長を続けていくわけです。
転倒で怪我を負ってもレースに挑む。ライダー達の体はボロボロだ。しかし、怪我をしないように彼らはハードなトレーニングも欠かさない。

凄まじいライダーたちの精神力

タイヤが2つしか付いていない、身を守るガードは限られている、そして上空に放り出されることもある。4輪レースとは比べ物にならない高いリスクを覚悟しながら戦っているライダーたち。その精神力は凄まじいものがあります。

特にベテランライダーになればなるほど、メンタルコントロールが上手な人が多く、オンとオフの差が実にハッキリしています。またアマチュアライダーでも、ちょっとやそっとのことで物怖じしない精神的に強い人が多いようにも感じます。ビジネス面でも仕事をキッチリこなし、成功している人が多いのは事実です。かといって、気が強いというわけではなく、普段はとても穏やかな性格でフレンドリーな人がほとんどです。

それに、見た目はチャラそうな人でも、実は中身はチャラくない選手が多いと思いますね。そういう意味では世間的にはあまり注目されているとは言い難いロードレースに女性ファンが増えているのは分かる気がしますね。彼らは同じ男から見て、モテる要素があると思います。
2年連続の全日本JSB1000王者、中須賀克行(なかすが・かつゆき)
レーサーとしては硬派なイメージの彼だが、ファンサービスにも取材にも気さくに応じてくれる。ライダーたちの真摯な態度に魅了され、4輪レースファンから2輪レースファンに転向したファンも実はとても多い。
【写真提供:MOBILITYLAND】

国籍問わずリスペクトされるロードレース

転倒しても起き上がる、大怪我をしても不屈の精神でまた復活してくる、劣勢のマシンでも自身の力で何とかしてしまう。。。そんな部分に魅せられてしまうのでしょうか?ロードレースファンには「熱いファン」が非常に多いと思います。

そして、ライダーたちは世界中のファンから熱い尊敬の眼差しを受け、勝利した時には凄まじい声援を受けて祝福されます。この祝福はライダーの国籍を問いません。例え日本人だろうと他の国であろうとその声援はまさに国境を越えているといえるでしょう。
世界チャンピオンを決定し、スペインの観客から祝福されウイニングランをする青山博一。
【写真提供:本田技研工業】
ロードレース世界選手権では過去に30人以上の日本人ライダーが優勝を飾り、6人もの世界チャンピオンが誕生しています。今や世界ナンバーワンのライダーに登りつめたヴァレンティーノ・ロッシは日本人ライダーの阿部典史(ノリック・アベ)に憧れ、ファンであることを公言していましたし、レース中の事故で亡くなった加藤大治郎の使用したゼッケン「74」は今もMotoGPの永久欠番になっています。
「ノリック」の愛称で親しまれた阿部典史(あべ・のりふみ)。94年の鈴鹿「日本グランプリ」で世界選手権デビュー。そのデビュー戦でいきなり強豪ライダーを相手にトップ争いを展開する鮮烈な走りを見せ、一躍ロードレースの世界的スターになった。2007年に交通事故でこの世を去ったが、ロッシをはじめ多くのライダーや世界中のファンの記憶の中で「ノリック」は生き続けている。写真は生前に出場した鈴鹿8耐の時のもの。
【写真提供:MOBILITYLAND】
さらにイタリア「アプリリア」のワークスライダーになった原田哲也、中野真矢。オーストリア「KTM」のワークスライダーになった青山博一、小山知良。そして、現在もイタリア「ドゥカティ」のワークスライダーである芳賀紀行など、ロードレースは国籍に関係なく日本人が一人のパイロット、アスリートとして海外メーカーから認められる数少ないジャンルです。F1ではようやく小林可夢偉という若き人材がそういった存在になれそうですが、海外メーカーが日本人選手をエースとして起用した例は4輪レースの世界ではほぼ皆無ですし、ロードレースほど日本人が認められているモータースポーツは他にはありません。

本当は芳賀紀行や青山博一のような世界で称賛される日本人がもっと国内でも評価を受けてしかるべきだと思います。複雑な政治的要素も絡んでくる4輪レースの世界に比べて、2輪ロードレースの世界は至ってクリア―でクリーンな世界です。どちらが上というのはないと思いますが、サーキットレースという基本的には同じジャンルで活躍する日本人が国内でも正当な評価と尊敬を受けられるように、今年は4輪レースファンの方にも少し2輪レース、ロードレースに目を向けて頂ければと思っています。

ぜひ、サーキットでお会いしましょう!


【参考記事】
青山博一がGP250世界王座を獲得!

鈴鹿8耐、戦士たちの感動的なレース

世界はロッシを中心に周っている!

【関連リンク】
MotoGP日本グランプリ

スーパーバイク世界選手権(英語)

全日本ロードレース情報サイト

鈴鹿8時間耐久ロードレース


ヤマハ発動機のレース情報

Honda Racing


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