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レース業界は終わってしまうのか?(1)(4ページ目)

今やモータースポーツ業界は暗いニュースが次々に出てくる「冬の時代」を迎えている。レース業界は本当に終わってしまうのか?3回シリーズの第1回はF1などの世界選手権に目を向けます。

辻野 ヒロシ

執筆者:辻野 ヒロシ

モータースポーツガイド

MotoGP:そろそろロッシ後を考えなくては

「MotoGP」にとって頭のイタイ話といえば、7度の最高峰クラスチャンピオンであるヴァレンティーノ・ロッシの後継者がいないことであろう。彼自身は何度もF1やラリーなどの4輪競技への転向を示唆してきたが、再び2年連続で王者にるなど彼の「MotoGP」に対するモチベーションは依然、高いままである。けれども、ロッシの引退のタイミングは確実に近づいてきている。
ヴァレンティーノ・ロッシ
【写真提供:ヤマハ発動機】
特にバイクレースの人気が高いスペインでは地元出身のダニ・ペドロサ(ホンダ)やホルヘ・ロレンゾ(ヤマハ)らの新鋭が大スターであるが、彼らはまだロッシを打ち負かす存在にはなっていない。今の「MotoGP」はロッシを中心に全てのストーリーが組み立てられており、ロッシが居るからこそ彼らも輝けるのである。ロッシを自力で引退に追いやるまでに成長してくれなくては、ロッシが引退した後はそれこそ見劣りするシリーズになってしまいかねない。

ペドロサ、ロレンゾの成長にも期待したいし、ケイシー・ストーナー(ドゥカティ)の復活にも望みを託したい。明るい材料としては「GP250」から才能あふれるライダーがステップアップしてくることがあげられる。アルバロ・バウティスタ(スペイン出身・来年はスズキ)、マルコ・シモンチェリ(イタリア出身・来年はホンダ)らは次の世代のスターと目されており、初年度からのパフォーマンスを大いに期待したい。しかし、何をやってもイチイチ面白く、注目が常に集まるロッシに代われるかどうかは・・・

SBK: MotoGPの対抗勢力も魅力的な存在

スーパーバイク世界選手権を戦うドゥカティワークスチームの2台。41番は日本の芳賀紀行。
【写真提供:www.worldsbk.com】
次世代スターは他のレースカテゴリーにも必ず居る。「MotoGP」と並ぶ世界選手権の「スーパーバイク世界選手権(SBK)」はこれまたヨーロッパで高い人気を誇るレースである。残念ながら、日本ラウンドは今は開催されていないが、「ヤマハ」「スズキ」「ドゥカティ」「アプリリア」「BMW」がファクトリーチームを参戦させ、「ホンダ」「カワサキ」もプライベート体制ながら力を入れて参戦するなど活況なレースだ。

市販車ベースの「SBK」は電子制御でガチガチにコントロールされた「MotoGP」マシンに比べライダーのコントロール技術が目で見てよく分かり、「MotoGP」よりも感情移入しやすい。さらに参加する側にとっても「SBK」は自社のフラッグシップモデルを存分にPRできる最高の戦場であり、今年から新規に「アプリリア」と「BMW」が参戦して盛り上がりを見せた。

また、ファクトリーチームが増えたことで「SBK」は華やかなレースになった。「MotoGP」で活躍したライダーが続々と「SBK」へと流入し、マックス・ビアッジ、カルロス・チェカ、玉田誠などが「SBK」に舞台を移しベテランの味を見せている。
ベン・スピーズ
【写真提供:ヤマハ発動機】
徐々に「MotoGP」から主導権を奪いつつあった「SBK」だが、アメリカからやってきた新人のベン・スピーズ(ヤマハ)が初年度から圧倒的な速さを示し、ベテランライダーをなぎ倒して王者に輝き、さらにはアッサリと「MotoGP」への転向を発表したことで、また「MotoGP」の格があがってしまったようにも思える。しかし、レースのエキサイティングさで言えば「SBK」の面白さは「MotoGP」をはるかに凌駕しており、今後も「SBK」はさらにライダー層が厚くなって面白いシリーズとして発展していくだろう。日本での開催を希望したいところだが、あくまでもヨーロッパのためのレースであり、日本ラウンドの復活はとても難しい。

次のページではその他の世界選手権クラスのレースをいくつかピックアップし、今後の動きを紹介していく。

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