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レース業界は終わってしまうのか?(1)(3ページ目)

今やモータースポーツ業界は暗いニュースが次々に出てくる「冬の時代」を迎えている。レース業界は本当に終わってしまうのか?3回シリーズの第1回はF1などの世界選手権に目を向けます。

辻野 ヒロシ

執筆者:辻野 ヒロシ

モータースポーツガイド

MotoGP:マニュファクチャラーの時代は続く

F1と常に対比して見られるバイクレースの最高峰「MotoGP」はマニュファクチャラー(バイクメーカーチーム)がまだまだ元気である。今年は「カワサキ」が撤退し、プライベートチームの「ハヤテレーシング」という形で活動したが、この不況でもマニュファクチャラーの多くは「MotoGP」に留まった。

来年も最高峰の「MotoGP」クラスには「ホンダ」「ヤマハ」「スズキ」「ドゥカティ」の4メーカーがファクトリーチーム(ワークスチーム)を出す他、サテライトチームにバイクを貸与し、全17台がレギュラー参戦する見込みである。
多くの観客が詰めかけたバレンシアGPを走るダニ・ペドロサ。
【写真提供:Bridgestone Motorsport】
多くのマニュファクチャラーがレース活動を続ける背景には様々な理由がある。そのひとつはF1と違い「MotoGP」にはまだ二輪車の技術開発の余地が残されていてメーカーとしても参戦の意義を見出しやすいことである(二輪車がビジネスの主軸ではない「カワサキ」の撤退は致し方ない)。

また、ヨーロッパでのスポーツバイクの売上が降下しているとはいえ、バイクレース自体は非常に安定した高い人気をキープしていることもあげられる。さらに「MotoGP」はスポーツバイクが人気のアメリカでも年に2回開催していることもメーカーにとっての好材料になっている。一時期、世界の名だたるマニュファクチャラーがこぞって参戦したためF1と並んで見られた「MotoGP」だが、F1とはマーケットも参戦する意義も異なるため、F1とMotoGPの共通項はもはや最高峰というステータスだけで、完全なベツモノである。

MotoGP:日本での人気は上昇するか?

MotoGP日本グランプリのスタート(2009年)
【写真提供:MOBILITYLAND】
ヨーロッパでの人気が安定している一方で、バイクブームが終わって久しい日本では「MotoGP」の人気は下降を続けている。日本のオールドファンは「日本のバイクメーカーが競っているのになぜ盛り上がらないのか」と嘆くが、二輪車がスクーターを除いてほとんど売れない現状では、国内メーカーの立場からすれば「日本はレースをやってアピールする市場ではない」というのが本音だろう。割り切って考えなければならない、仕方がないことだ。

ところが、ここにきて日本での人気をほんの少し回復させるかもしれない好材料も出てきている。先にも報じたように「GP250」クラスで青山博一が加藤大治郎以来の世界チャンピオンに輝いて、来年は「MotoGP」クラスにステップアップすることが決まっている。青山の世界チャンピオン獲得は久しぶりに一般ニュースでも取り上げられ、鳩山首相からはお祝いのメッセージまで送られたりと話題になった。青山の「MotoGP」への昇格は日本の二輪レースが再び脚光を浴びる良いキッカケとなるはずで、来年春の「日本グランプリ(栃木県・ツインリンクもてぎで開催)」は今年以上に盛り上がると予想される。
「GP250」世界チャンピオンに輝き、「MotoGP」へと昇格する青山博一
【写真提供:本田技研工業】
さらに、来年から「GP250」に代わってスタートする新カテゴリー「Moto2」には「モリワキ」「TSR」という国内の有力コンストラクターがレース用の車体を開発し、レースに参戦させる予定で、日本のレース企業が作ったマシンが世界チャンピオンを獲るという期待が高まる。「ものづくり」という観点からもこういった動きはポジティブであるし、日本と「Moto2」の関わりがさらに深くなれば、日本人ライダーが多数参戦する可能性もある。とにかく来年に向けてはマイナスな話題はそう目立たず、どちらかといえばポジティブな話題が多いのが「MotoGP」や世界グランプリを取り巻く状況だ。

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