国内レース界に久しぶりの明るい光、HSV-010 GT

今回は、ホンダが国内レースの「SUPER GT」のGT500クラス(500馬力)に投入するニューマシン「HSV-010 GT」の詳細についてご紹介しよう。
Honda HSV-010 GT
【写真提供:本田技研工業】
長きに渡ってホンダのフラッグシップマシンとして活躍した「NSX」が勇退し、2010年からはいよいよニューマシン「HSV-010 GT」でホンダは国内屈指の人気シリーズ「SUPER GT」を戦うことになった。昨年12月末に行われたプライベートテストで鈴鹿サーキットを初走行した「HSV-010 GT」は、1月中旬に同じく鈴鹿で開催されたメーカーテストに参加し、その力強い走りを披露した。そのテストを前に鈴鹿サーキットではプレス向けに記者発表会が開催されたが、市販を前提にしていないレーシングカーであるにも関わらず、きっちりと発表会が開催された。

これは「HSV-010 GT」がそれだけホンダにとってプライオリティの高い製品である証拠ではないだろうか? 次期NSXとして開発されてきたものの、景気の悪化でお蔵入りを強いられた不遇のスーパーカーをわざわざレースに参戦させる。その意図は何なのだろうか?

FR、3.4リッターV8のレーシングカー

Honda HSV-010 GT
【写真提供:本田技研工業】
「SUPER GT」のGT500クラスはFR(フロントエンジン、後輪駆動)、そしてフォーミュラニッポンと共通化を図った3.4リッターV型8気筒のエンジンを使用するレギュレーションになっている。これは昨年から規定されたものだが、残念ながら昨年レギュレーションに合致させたマシンを走らせたのはレクサスだけである。

レギュレーションに合致しないマシンには当然、ハンディキャップが付けられる。具体的には、最低重量の増加を強いられるだけでなく、エンジンに空気を送り込む穴(エアリストリクター)の径を小さくさせられるなど、レースを戦う上では非常に不利な状況に追い込まれてしまうのだ。つまりはMRで3.5リッターV6の「NSX」ではハンデが大きすぎて、レースを優位に戦うことができなくなってしまっていた。ニューマシン「HSV-010 GT」は現在のレギュレーションに完全に合致させたマシンとなり、今シーズンは何の余計なハンデをつけられることもなく、レースを戦えることになる。

「HSV-010 GT」の特徴は何といってもそのフォルムだ。純レーシングカーなのだから「レーシングカー然とした」という言葉を使うのはおかしな話かもしれないが、市販ベース車両のフォルムやイメージの制約を一切受けずに作られた「レーシー」なシェイプはまさに新時代の到来を予感させる姿である。
Honda HSV-010 GT
【写真提供:本田技研工業】
特に特徴的なのはリアセクション。センター1本出しのマフラーに加えて、下からググッと力強く伸びるリアウイングのステー、そして「童夢」の風洞を使って研究されたはずの見事な空力処理は「HSV-010 GT」のカッコヨサをより一層増幅させている。
Honda HSV-010 GT
【写真提供:本田技研工業】
またフォルムだけでなく、音にもコダワリを感じさせてくれる。センター1本出しのマフラーから奏でられる排気音はF1をもイメージさせる甲高いサウンドだ。フォーミュラニッポンのV8エンジンを使用しているから、レーシーなエンジン音になるのは当然といえば当然なのだが、レーシングカーが駆け抜けた後、排気音が後を追うように木霊してついて行く姿は今までのSUPER GTマシンにはなかったものだ。