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レース業界は終わってしまうのか?(1)(5ページ目)

今やモータースポーツ業界は暗いニュースが次々に出てくる「冬の時代」を迎えている。レース業界は本当に終わってしまうのか?3回シリーズの第1回はF1などの世界選手権に目を向けます。

辻野 ヒロシ

執筆者:辻野 ヒロシ

モータースポーツガイド

インディカー:琢磨の参戦が実現すれば・・・

インディカー
【写真提供:本田技研工業】
アメリカン・オープンホイールレースの最高峰「インディカー」は日本でもツインリンクもてぎで開催されているので、日本のファンにもお馴染みのレースだ。しかし、F1やSUPER GTに比べると熱狂的なファンが少なく、日本のレース雑誌でも3ヵ月に1回くらいの割合でしか特集が組まれることはない。

レースの展開でいえばF1よりもはるかに面白くエキサイティングな「インディカー」だが、マシン、エンジン、タイヤの全てがワンメイク(同一のもの)であり、ドライバーもアメリカ出身やF1でB級のレッテルを貼られたドライバーが多く、F1を頂点と考える日本のレースファンにはイマイチ感情移入してもらえないのが残念である。レースマニアを公言する人にこそ見て欲しいレースなのだが・・・(そう公言する人に限ってインディカーには無知な人が多い)

そんな中、今年のシーズン中から「インディカー」への転向が噂されているのが、日本のF1スター佐藤琢磨である。F1で走っていなくても高い人気をキープしている琢磨の参戦が実現すれば、日本での「インディカー」の見方も少し変ってくるかもしれない。しかしながら、「インディカー」とF1はレースの性格が似て非なるベツモノであり、いくら佐藤琢磨といえど初年度からの大活躍は簡単なことではないし、優勝を狙えるトップチーム「ペンスキー」「チップガナシ」のシートを彼が獲得できる可能性はほとんどない。参戦が実現しても習熟には時間を要すだろうし、それを見た日本のファンがどこまで感情移入できるかは未知数である。
F1日本グランプリに出演しトークショーなどで大人気だった佐藤琢磨。本人も必ず来年はどこかのカテゴリーで走ると語っており、インディカーもその選択肢の一つになっている。本音はF1で走って欲しいが・・・
【写真提供:MOBILITYLAND】
「インディカー」はアメリカでの人気も低迷気味である。最近はアメリカ独特の「オーバルコース」を中心に置いたコンセプトから軸足を「市街地コース」や「ロードコース」に移しつつあり、再びアメリカ以外の外国マーケットを狙おうとしている。現在は「ホンダ」のワンメイクレース状態だが、その他のメーカーの参入は彼らの最も望むところだろう。

WTCC:日本メーカーの参入が隆盛のカギ?

昨年から岡山国際サーキットで開催されている「WTCC(世界ツーリングカー選手権)」はF1と並ぶもうひとつの世界選手権4輪レースである。徐々に人気が出てきているが、日本ではまだまだマイナーなレースカテゴリーだ。
WTCCの最終戦はマカオ市街地で開催される。WTCCにタイヤを供給するのは「ADVAN」ブランドでお馴染みの「横浜ゴム」である。
【写真提供:横浜ゴム】
現在は「BMW」「セアト」「シボレー」に加えロシアの「ラーダ」がマニュファクチャラーとして参戦しているが、F1を辞めた「BMW」は今後、アウディとメルセデスがぶつかり合う「DTM(ドイツツーリングカー選手権)」に軸足を移すと噂されており、2011年以降はその他のマニュファクチャラーの参入が急務となる。そこで「WTCC」が積極的に参戦をはたらきかけているのが日本の自動車メーカーである。「ホンダ」「トヨタ」「ニッサン」の参戦は世界選手権としての格を維持するのに最も理想的なことであり、「WTCC」の国内版「JTCC」の開催も含めて積極的な動きがある。
ディーゼルエンジンで参戦するスペインのセアト
日本の自動車メーカーにとっても、かつてのスポーツカーユーザーがスポーツセダンを好んで購入する現状を鑑みれば、絶版車やそれほど売れないクルマでレースをするSUPER GTよりも魅力的に写るのも不思議ではない。しかし、改造範囲が少なくクルマ本来の素性が大きくモノをいう車両規定では即座に参戦を決めることはできず、来年は実現に向けた準備の年になるであろう。

また、ツーリングカーレースはマニュファクチャラーの技術開発が激化しやすく、数年で栄枯盛衰を繰り返している歴史があり、レースに対する資金も限られた現状では「何のために参戦するのか」という理由も重要だ。メーカーにとって本当に魅力的なもの、数年で終わらないものにしなければツーリングカーレースの隆盛は難しい。

次のページではガイドが最も注目したい世界選手権レベルのレースを紹介します。
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