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お寺が鮮やかな赤色に染まる! 神奈川県の紅葉の名所「大山不動尊(大山寺)」の美しさ

江戸時代、庶民が「講」を組んで出かけた「大山詣で(大山詣り)」。目的地の大山は今でも信仰を集めると共に、秋になると鮮やかな紅葉を楽しめる素敵な場所でした。今回は紅葉が美しい大山の大山不動尊(大山寺)をご紹介します。

村田 博之

執筆者:村田 博之

名所・旧跡ガイド

その昔、江戸時代の庶民には「講」を組んで、周辺の神仏へお詣りの旅に行くという習慣がありました。

行き先は富士山、御嶽山(東京都)、三峯山(埼玉県)など各所に散らばりますが、中でも人気が高かったのは、伊勢神宮(三重県)への「お伊勢参り」と大山(おおやま、神奈川県)への「大山詣で(大山詣り)」。特に「大山詣で」は、江戸より往復2日で行けることから手軽で人気のコースだったと言われています。

時は現代に変わり、交通機関の発達もあって、東京から大山までは片道2時間程度で行けるようになりましたが、大山に対する信仰は昔と変わることなく、今もたくさんの人が訪れています。

今回は、神奈川県伊勢原市にある信仰の山、大山から大山不動尊(大山寺)をご紹介します。11月中旬を過ぎると寺の周囲が目にも鮮やかな紅葉で包まれるとても素敵な場所なのです。
 
<目次>
 

関東三大不動尊にも数えられる名刹、大山不動尊

大山不動尊(大山寺)の紅葉(1)

鮮やかな紅葉に覆われた大山不動尊。石段を登って本堂へ参詣します(2015年11月21日撮影)

信仰の山、大山は丹沢山塊に位置する標高1252メートルの山。東京都内や東海道新幹線、小田急線の車窓からも良く見える美しい山容を持つ山です。

大山には、大山阿夫利(あふり)神社と今回ご紹介する大山不動尊(大山寺)があります。大山の山頂に大山阿夫利神社 本社、中腹に大山阿夫利神社 下社があって、今回ご紹介する大山不動尊(大山寺)は、大山阿夫利神社 下社よりやや下に位置しています。 
大山不動尊(大山寺)の本堂

大山不動尊の本堂。1886年に建てられた由緒ある建物です(2015年10月撮影)

大山不動尊(大山寺、Googleマップ)は、高幡山金剛寺(高幡不動、東京都)、成田山新勝寺(千葉県)と共に関東三大不動の一つにも数えられる由緒あるお寺。

その歴史をひも解くと、奈良・東大寺を開山に導いた良弁僧正が奈良時代に大山を開山したのが始まり。鎌倉時代になって、大山寺に不動明王像が安置されたことで「大山不動」として知られるようになります。

江戸時代、将軍家の乳母として二代将軍徳川家忠に仕えていた春日局が、家光を将軍とするよう大山不動に祈願し成就したというエピソードがあり、晴れて三代将軍となった徳川家光は大山寺への寄進を重ね、寺も大きくなりました。
大山不動尊(大山寺)の宝篋印塔

大山不動尊(大山寺)の境内にある宝篋印塔。11メートルもある巨大な青銅の塔です(2015年10月撮影)

その後、江戸時代末期の火事による焼失や明治時代初期の神仏分離、廃仏毀釈に伴う暴動での破壊を乗り越えて再建され、今に至ります。ちなみに神仏分離の際にそれまでの大山寺は大山阿夫利神社と名前を変え、大山阿夫利神社から少し離れた今の場所に大山寺が不動明王像と共に移動したとのことです。
 

石仏と共に楽しめる色鮮やかな紅葉

大山不動尊(大山寺)の紅葉(2)

大山不動尊・本堂の前から石段を覆う紅葉を見下ろすことができます(2015年11月21日撮影)

大山不動尊(大山寺)は、紅葉の名所としても知られています。「大盃(おおさかずき)」と呼ばれる品種のモミジが境内一円に植えられているので、ピーク時にはお寺全体が鮮やかな赤色に染まります。
大山不動尊(大山寺)の紅葉(5)

大山不動尊の石段下から紅葉を見上げる(2015年11月21日撮影)

大山阿夫利神社の参道でもある女坂から本堂へ続く石段の両側が特に美しく、下から見上げても良し、上から見下ろしても良しという素敵な風景が広がります。
大山不動尊(大山寺)の紅葉(4)

大山不動尊の石段近くにたたずむ石仏と紅葉(2015年11月21日撮影)

石段の横にたたずむ石仏たちも、毎年この紅葉を楽しみにしているように見えてきますね。

紅葉の見頃は、例年11月中旬から下旬です。紅葉の状況は伊勢原市観光協会のWebサイトで確認することができます。

また紅葉のピーク時には夜間のライトアップイベントも行われます。日中とは違った幻想的な紅葉を眺めることが可能ですよ。
 

相模湾や江の島も眺められる大山阿夫利神社 

大山阿夫利神社 下社(1)

大山阿夫利神社 下社の拝殿。堂々とした造りの建物です(2015年10月撮影)

大山不動尊(大山寺)を訪れたなら、あわせて大山阿夫利神社にも参詣しましょう。
大山阿夫利神社 下社の紅葉(2)

大山阿夫利神社 下社の境内で見られる紅葉(2000年11月25日撮影)

気軽に行けるのは大山不動尊(大山寺)の上、大山ケーブルカーで1駅登った所にある大山阿夫利神社 下社。こちらでも境内の木々が美しく色づくさまを見ることができます。
大山阿夫利神社 下社の紅葉(1)

大山阿夫利神社 下社の境内で見られる紅葉(2000年11月25日撮影)

広い境内の中には、見晴らしの良い場所があり、天候や視界に恵まれれば眼下に相模湾や江ノ島、三浦半島を望むことが可能です。
大山阿夫利神社 本社への参道入口

大山阿夫利神社 本社への参道入口(2015年10月撮影)

なお、大山の山頂にある大山阿夫利神社 本社へ行くには、下社から登り90分、下り60分の登山コースを歩かなければなりません。

このコースを往復するのと本社への参拝を考えると最低3時間は必要になりますので、こちらにも参詣しようと考えている方は、朝早い時間に大山へ到着して余裕を持って行動することをおすすめします。

大山阿夫利神社本社のある大山山頂からは、お天気に恵まれると相模湾、江ノ島の雄大なパノラマや富士山も望めます。
 

大山不動尊(大山寺)の紅葉をご紹介してきましたが、いかがでしたか? ちょっとした秋の休日のお出かけにおいしい大山豆腐と美しい紅葉が楽しめる大山へ、ぜひ出かけてみて下さい。
 

大山不動尊(大山寺)へのアクセス

地図:Googleマップ
アクセス:
<鉄道>

新宿駅、または東海道線 小田原駅より小田急線に乗車し、伊勢原駅下車。
伊勢原駅北口バス停より、神奈川中央交通バス 伊10系統 大山ケーブル行き、または伊11系統 大山ケーブル(直行)行きに乗車し、終点 大山ケーブルバス停下車。
こま参道

大山ケーブル駅へのルートとなるこま参道(2015年10月撮影)

バス停からはこま参道(合計で362段の石段を登ります)を約15分歩いて、大山ケーブルカー大山ケーブル駅へ。
大山ケーブルカー

大山不動尊(大山寺)、大山阿夫利神社へのアクセスとなる大山ケーブルカー(2015年10月撮影)

・大山不動尊(大山寺)…大山ケーブルカーで大山寺駅下車、徒歩約5分。
・大山阿夫利神社 下社 …大山ケーブルカーで阿夫利神社駅下車、徒歩約5分。

《お得なきっぷ》
小田急線経由で大山へ行く場合、大山ケーブルの乗車券がフリー利用区間に含まれている丹沢・大山フリーパスのAきっぷがお得になります。

《注意しておきたいこと》
大山阿夫利神社 参道・男坂と女坂の分岐点

大山阿夫利神社 参道・男坂と女坂の分岐点。
もしもケーブルカーが混雑していた場合、大山阿夫利神社 参道を登っても大山不動尊(大山寺)、大山阿夫利神社へ行くことができます(2015年11月撮影)

紅葉のピーク時は、ケーブルカーの乗車待ちで1時間以上の行列になることがあります。その場合、山道のハイキングコースを歩ける脚力があれば、大山阿夫利神社の参道を登っていく方が早く着ける場合があります。
・大山不動尊(大山寺)…大山阿夫利神社 参道の女坂を登って約20分
・大山阿夫利神社 下社 …大山阿夫利神社 参道の男坂を登って約30分

<車>
・東京方面から…新東名 伊勢原大山インターチェンジより道案内に従い大山方面へ進む。
・名古屋方面から…東名 秦野中井インターチェンジから国道246号線に入り、工業団地入口交差点を左折し、大山方面へ。
大山ケーブル駅バス停近くに有料駐車場があります。
※ピーク時は駐車場の入庫待ちで長い渋滞になることがあります。
駐車場からはこま参道を約15分歩いて大山ケーブルカー 大山ケーブル駅へ。

【関連サイト】
「紅葉・黄葉の名所」に、「名所・旧跡」ガイドで紅葉の名所を紹介した記事の一覧をまとめてあります。
「関東の名所・旧跡」に、「名所・旧跡」ガイドで関東の名所・旧跡を紹介した記事の一覧をまとめてあります。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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