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“市販車”だけど買えないFCXクラリティ

今夏よりアメリカで個人向けにリース販売が開始されたホンダの燃料電池自動車「FCXクラリティ」。既に市販車としても申し分ない性能だが、日本でのリース販売は未定。FCXが抱える課題とは?

国沢 光宏

執筆者:国沢 光宏

車ガイド

ロールスロイスよりも高い

FCXフロント
2007年にロサンゼルスオートショーで発表された「FCXクラリティ」。アメリカでは今夏より個人客などを対象にリース販売している

ホンダが発表した最新の燃料電池車「FCXクラリティ」に試乗したら「もう普通のクルマとして売っても何ら問題ないのではないか?」と思った。ホンダの開発陣にそんな印象を述べたら「このクルマは市販車ですから」だって。確かにアメリカでは一般市民へのリース販売(月間6万6000円)も始まっている。

「だったら私にも売って欲しい」と言ってみたところ「それは無理です」。なぜアメリカではリース販売しているのに(といっても宝くじに当たるような確率らしい)、日本だとダメなのか。こらもう簡単。ホンダによれば「アメリカと文化が違うため月間6万6000円だと収拾が付かなくなってしまいます」。

FCXリア
CO2などの排出ガスはゼロ。出すのは水だけという、究極のクリーン性能を実現している

なんせ市販モデルながら燃料電池車の生産コストは常識外れに高い。車両価格を1億円くらいに設定すれば販売も可能だろうけれど、そんなことをしたら買う人がいない。アメリカでは「市場導入試験」という名目で安価なリース料としているワケ。

日本でそれをやると「どう選ぶか?」という段階で大モメになること必至。抽選にして公平さを演出しようものなら「また貸し」などされる可能性が出てきます。かといって公官庁や学校などの公用車に限定しても、これまた対象多過ぎ。しかも「実際の価格より安くする」というあたりが税制&法規上でも難しい。

ちなみに国内で実績のある日産やトヨタの4ドア燃料電池車リース料は月間80~100万円程度。この値付けから車両価格を推算すると、5000万円のロールスロイスより高くなってしまう。この月間リース料で納得するのは、燃料電池関連の政府機関か燃料電池関連の企業だけ。

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