「カラカラ」させないために
3月4日、ジュネーブ・モーターショーで発表されたボクサーディーゼル搭載のレガシィ。スペインの地で、水平対向ディーゼルのフィーリングを味わった |
ジュネーヴのモーターショーで世界初の乗用車用水平対向ディーゼルエンジンを搭載したレガシィが発表/発売された。果たしてどんなエンジンなのか? 先日スペインで行われた先行試乗会に参加。取材してきたので詳しく紹介したい。
まず水平対向ディーゼルの特徴から。ディーゼルエンジンというと、トラックやバスなどからイメージするように「振動と騒音が大きい」と考えている人が少なくないようだ。実際、一昔前のディーゼル、乗用車用であっても決して静かじゃない。
しかし数年前に「コモンレール直噴」と呼ばれる超高圧の燃料噴射装置を電子制御するようになって以後、驚くほど進化している。具体的に書く。以前のディーゼルは空気を圧縮。頃合いを見計り、霧吹きのような装置で軽油を噴射するというシステム。基本的に一発で「ドカン」と燃焼させていた。だからこそ噴射する燃料の少ないアイドリングなど、カラカラという大きなノッキング音を出してしまう。しかし電子燃料噴射になり、燃料を何回かに分けて噴射することが可能になっている。
レガシィに搭載される世界初の乗用車用水平対向ディーゼルエンジン |
最初にカラカラ音を出さないよう薄い燃料を吹いておき(プレ噴射)、その後、本格的にパワーを出すための燃料を吹き(メイン噴射)、さらに最後の燃焼を整えるための適度の燃料を吹く(アフター噴射)といったコントロールをしているワケ。
4回とか5回に分けて噴射することもあるそうな。これで排気ガスのクリーン度とパワーを上げつつ、騒音や燃費を改善出来るようになったのだ。ちなみに今回発表された水平対向ディーゼルを除くエンジンも、今や全て電子制御になってます。
振動も格段に改善されている。ガソリンエンジンで広く使われている「バランスシャフト」(振動を抑えるための装置)をディーゼルにも採用するようになった結果、ほとんど振動を出さないようになった。ガソリンエンジンより滑らかなディーゼルさえあるほど。
次ページでいよいよ試乗!