ニューヨーク・オートショーで今年の秋に発表される次期型セドリックのプロトタイプがデビューした。といっても日本仕様のセドリックでなく『インフィンティM45』と呼ばれるアメリカ市場向けスポーティモデルなのだけれど、フロントグリルを除きそのままの外観だと考えていい。ちなみに従来型の『M45』は現行セドリックにシーマ用の4,5リッターV8エンジンを搭載したモデルで、R34スカイライン無き後、日産のラインナップじゃ最もスポーティかつ楽しいモデルとして評価されている。試乗したことがあるけれど、いやぁ楽しい楽しい。今の日産から消えてしまった走りのDNAを色濃く残す。というかR34スカイラインの兄貴分のような雰囲気なのだ。
新しいM45(以下セドリック)は写真を見ても解る通り、現行スカイラインと同じシャシである『FMパッケージ』を採用している。Cピラー(前から三つ目のピラー)形状などスカイラインのまんま。さすがにスカイラインのサイズだと小さいということから、ボディシェルを一回り大型化。日本仕様の詳細なスペックは発表されていないが、現行セドリックより一回り大きくなると思われる。こう書くと「評判の悪いスカイラインのシャシを使うの?」とがっかりするかもしれない。そのあたり、日産も十分解っているようだ。どうやらシャシは純粋なFMパッケージでない模様。具体的に言うとサスペンションが違うタイプになる。
FMパッケージはハンドリングという点からすれば日産社内でも「失敗」とされているらしく、次期型セドリックを開発するにあたり基本から見直すことを決定。結果的に半分くらい作り直してしまうことになった。試乗してみないと解らないが、久々に期待出来るんじゃなかろうか。次期型セドリック搭載されるエンジンは(M45は340馬力のV8)、FMパッケージの基本形であるVQ型V6で、3,5リッターと2,5リッターになるようだ。車重が発表されていないため絶対的な動力性能は不明ながら、500ccのアドバンテージを持つため高い評価を得ている3リッターのクラウンに勝るとも劣らないと予想。
装備は前回の東京モーターショーに出展された『FUGA』で発表された先端技術が導入される。興味深いのは『低速追従制御付き自動車車間制御システム』だ。簡単に言えば渋滞時でも稼働するクルーズコントロールのこと。ノロノロ走行でも完全に停止しない限り(完全停止はブレーキを踏まないとダメ)速度を先行車に合わせて自動調整するというもの。このシステム”世界初”は先にデビューするV8エンジンを搭載する次期型マジェスタになるものの、便利なこと間違いなし。スカイラインの雰囲気を少し残すスタイルがユーザーから受け入れられれば、久しぶりのヒットになるかもしれない。私は実車を試乗してから評価したいと思う。
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