これまで軽自動車の”流れ”は「少しでも室内空間を広く取る」だった。ワゴンRのデビューで、アルトやミラといった従来型の軽自動車がイッキに売れ行きを落としたのを見ると、ユーザーも広さを望んでいたんだと思う。そしてついにコンパクトカーさえ大幅に凌ぐ室内スペース持つモデルまででてきたほど。実際、タントに乗ると広さに驚く。リアシートなどウソ偽り無く足を組めるほど。
しかし! 室内スペースの拡大はメリットだけでない。車重が増えるため燃費悪くなり、ただでさえ余裕の無い動力性能も一段と厳しいものになってしまう。高速域になると空気抵抗だって無視できず、これまた動力性能や燃費に悪い影響与えることに。
タントに乗って強く感じたのは「ここまで広い必要あるのか?」という点。軽自動車って普通一人で乗ることが多い。次に多いの、お母さんと子供というケース。成人3人以上で乗ることなど非常に珍しいんじゃなかろうか。だったらコンパクトなサイズを活かし、キビキビ走れ燃費の良い軽自動車にしようじゃないか、と考えたのがR2である。
タントでなくワゴンRやムーブと比べたって広さじゃ勝てない。でも運転席と助手席に座っている限り、何ら不満無い広さ。むしろコンパクトカーらしさを強く感じさせてくれるため、誰でも乗りやすいと思うことだろう。このあたり、MCCスマートに似た雰囲気。
リエンジンは3タイプ。『i』というベーシックグレード用の46馬力から味見してみた。Dレンジをセレクトして走り出すと、エンジンパワーを効率よく伝達するCVTを採用していることもあって街中じゃ元気良く走ってくれる。このグレード、CDオーディオやリモコンドアロックなど付くフル装備状態で91万円(ABSのみ3万5千円のオプション)。最大のライバルであるホンダ・ライフよりABS付けて5千円安い。スムースなCVTというアドバンテージを採用していることを考えればお買い得だと思う。さすがに100キロくらいになると加速力が鈍ってくるものの「高速道路を走る機会はめったにない」ならこれで十分。
スバルのおすすめが『R』なる中間グレード。新開発となる54馬力のECOエンジンを搭載し、24km/Lという素晴らしい燃費性能を持つ(マニュアルミッション車だと22km/L。AT車の方が燃費良い)。試乗してみたら確かにパワフルで、高回転域での伸びは46馬力仕様よりグッと良い。これなら高速道路でもストレスなく走れる。アルミホイールや電動格納式ドアミラーなど標準装備で112万円。三つ目は64馬力のスーパーチャージャーエンジン搭載の『S』。軽自動車ながら15インチ! の大径ホイールを採用するなど、スバルらしく走りの性能を追求。おそらく軽自動車のAT車でトップの動力性能だと思う。