今年3月のジュネーブショーで”お披露目”された新型デミオがついに発売された! エンジンこそ従来型同様1300cc/1500ccというラインナップながら、ボディサイズは拡大。全長3925mm×全幅1680mmと、従来型の3800mm×1670mmより完全に一回り大きくなっている。いわゆる「車格」で言うと、フィットとシビックの中間くらいか。ここが新型デミオの弱点であり、美点にもなっている。説明しよう。
このクルマ、試乗してみると明らかに従来型デミオと違う。「良いデミオになった」というより、全く別のクルマになった感じ。従来型デミオは、どちらかというと軽い乗り味である。これ、悪いと言っているのでなく、ライトウエイトスポーツカーを評する時のような「軽快感」というイメージ。しかし新型はドッシリした乗り味なのだ。従来型を「典型的な日本車」とすれば、新型はヨーロッパ車の代表です。
その代わり重くなってしまった。1300ccエンジンを搭載する『カジュアル』は1080kg。フィットやファンカーゴ、bBが1000kg。驚くことにカローラランクスの1500cc(1070kg)より重い。マツダのエンジニアに聞くと「目標より80kgくらい増えてしまいました」と言う。10・15モード燃費も16,2km/Lで、フィットの23km/Lはもちろん、カローラランクス1500ccの16,6km/Lに届かず。
参考までに書いておくと、1500cc車でも重量の増加はホンの少し。1500ccのカジュアルで1100kg。走りを重視した『スポーツ』なら1080kgしかない。といったことから考えると、新型デミオは1300ccメインのクルマでなく、1500ccがメインのクルマだということが解る。つまりフィットより少し大きなクルマなのだ。ヨーロッパでのライバルは、2代目ゴルフと同じくらいのボディサイズ持つ新型ポロか。
おそらく新型デミオの評価は二つに分かれるだろう。まず「ライバル車に動力性能と燃費で負けている」というもの。おそらく新型デミオの1300ccと、フィット、istあたりの比較テストを行うと、全て厳しい数値になると思う。重いのだから当然なのだけど……。二つ目は「内容を考えればお買い得」です。乗ればすぐ解る通り、本来なら格上のクルマ作りとなっており、開発中に目標としていた価格設定は今より高かったろう。
でもフィットやistといったライバルと戦うために、価格も揃えなければならない(デミオの1300カジュアルはフィットのAと同じ114万5千円)。気合い入れて10万円くらい強引に安くしたんだとと思う。そう考えればお買い得である。もしも「質感」や「乗り味」といった評価項目を数値に出来るなら、ライバルより大幅に高い点数になろう。おすすめグレードは、新型デミオの質感の高さがキッチリ出ている『コージー』。