デビュー以来、売れ行きの方は低空飛行中のスカイラインに、パワフルな3500ccエンジンと、8速にセレクト出来るエクストロイドCVTを搭載した『350GT-8』なる追加バージョンが出た。考えてみれば「V35」と呼ばれる現行スカイラインには、これまで当然のごとく存在したスポーツグレードがラインナップされていない。
V35は当初スカイラインとして開発されていなかったためだけれど、スポーツグレードが無い点、ユーザーの間から不満の声も多く出ていたようだ。日産としてもV35をスカイラインとして育てるべく、遅ればせながら頑張っている、といった次第。ちなみに丸4灯のテールランプを持つ2ドアモデルも開発中とか。
GT-8の注目点は272馬力の新エンジンと、8速制御付きのミッションだろう。このエンジン、すでにエルグランドに搭載されており好評の怪力VQ35(2トンもある大柄なボディを、0~400mを16秒台ソコソコで走らせてしまう!)を一段とパワーアップしたもの。ターボエンジンと違い、アクセルを踏んだ瞬間から太いトルクが出る。動力性能は強力で、エンジニアに聞くと0~400m加速14秒台前半とか。このデータ、従来型の2.5リッター280馬力ターボと同等。これだけのパフォーマンスを持っていればスカイラインの名に恥じないと思う。同時に環境にもやさしく、排気ガスレベルは☆三つの「超-低排出ガス基準」をクリアしている。
ATはエクストロイドCVT。多くの自動車メーカーが開発したものの、日産しか市販化出来なかったという最新鋭のミッションだ。Dレンジをセレクトしておけば無断変速のスムースな走りを楽しめ、マニュアルモードにすると8速マニュアルミッションのような走行フィールになるというもの。おそらく「8速もいらない」という評価が雑誌に出ると思うけれど、これ間違いだと考える。御存知の通り5速ミッションの場合、一般道で使えるのは2速と3速くらい。1速だと低すぎ、4速になれば凄いスピードになってしまうからだ。7速くらいに分ければ2速から4速まで、三つ程度のギアが使えるようになる(私は7速制御付きのプレオに乗っている)。
8速になれば、2速から5速くらいまで使えるようになるだろう。つまりワインディングロードで気持ちよいシフトを楽しもうとすれば、8速くらい必要なのだ。6速以上は使わなくてもいい、ということ。シフト操作用のスイッチ(パドルと呼ぶ)はF-1のようにハンドル間近に付けられており、気持ちよく操作可能。同時に足回りも普通のスカイラインよりハードになり(それでも物足りないという意見は出ると思う)、シャープな走りを楽しめる。現行スカイラインを見て「こら違う!」と思ったユーザーは、ぜひ試乗してみて欲しい。「少しだけスカイラインになったな」と感じるハズ。価格はフル装備で366万円。