英語教育でよく使われる「The Three Little Pigs(三匹の子ぶた)」

以前、「絵本のある子育て」(こどもの本の童話館グループ発行)という冊子に「つくり変えられる昔話の絵本」という連載が載っており、「三匹の子ぶた」は本当は怖い物語だったという紹介が書かれていました。

子どもの英語教育でよく使われているイギリスの昔話「The Three Little Pigs(三匹の子ぶた)」という本があります。英語のレッスンではBig Book(ビッグブック)と呼ばれる大きな絵本が使われていますが、私がよく利用しているのは、Addison-Wesley社の「The Three Little Pigs」(下写真)です。
3匹の子ぶた The Three Little Pigs

子ども用に書き換えられたストーリーの「The Three Little Pigs」(画像提供 Amazon)

この物語のあらすじは、「昔々あるところに三匹の子ぶたが住んでいました」から始まり、わらの家、木の家、レンガの家の順にオオカミが訪れます。わら、木の家をオオカミが息で吹き飛ばしてしまい、子ぶたたちはレンガの家に逃げていきます。オオカミはさすがにレンガの家は吹き飛ばせないため、煙突から家の中に侵入しますが、煮えたぎった鍋の中に落ち、大火傷をしたオオカミが逃げていく、というお話です。

しかし実は、この本は原本を簡単にして、ストーリーも書き換えられています。
 

本当は怖いストーリー「The Three Little Pigs(三匹の子ぶた)」

「The Three Little Pigs(三匹の子ぶた)」の本当の物語のあらすじは、次のような内容です。

昔々あるところに、三匹の子ぶたがお母さんぶたと一緒に住んでいました。とても貧乏だったため、お母さんぶたは、子ぶたたちを手放しました。その中の一匹はわらの家を建てましたが、オオカミが来て家を吹き飛ばして、子ぶたは食べられてしまいました。二匹目は木の家を建てましたが、同じオオカミが来て木の家を吹き飛ばして、子ぶたは食べられてしまいました。三匹目の子ぶたはレンガの家を建てました。オオカミは家を吹き飛ばそうとしますが、何度も失敗します。ついに頭にきたオオカミは煙突から侵入しますが、暖炉には煮えたぎった鍋があり、熱い鍋に落ちたオオカミは、そのまま煮られてしまいました。そして子ぶたがそのオオカミをきれいに食べてしまいました。おしまい。

残酷にみえるが、実は読み取れることもある

The Three Little Pigs 3匹の子ぶた

原本のThe Three Little Pigs。少し残酷に思える部分もあるが、意味を知って読むと奥深い (画像提供:Amazon


「The Three Little Pigs(三匹の子ぶた)」って、結構、残酷ですね。

しかし、この物語には子ぶたを擬人化した人間生活が反映されているようです。童話館グループ代表の川端強さんによると、一匹目、二匹目、三匹目と成長過程が描かれていたり、親元を離れて自立しなければいけないこと、オオカミは悪の象徴、わらの家は楽に作れて安易な選択をしてしまうという象徴、執拗なオオカミの魔の手、最後には勝利という希望があることを絵本の中で教えているそうです。

さらに川端さんは、物語が作りかえられる理由として、大人の「教育的配慮」と書かれていました。つまり「表面的な残酷さをなくしたり、仲直りを美徳を示すことが子どものためになる」という配慮から作りかえられているといいます。

英語を教える立場として英語絵本の利用をしていると、ついつい語彙やフレーズ、文法などに意識しすぎて、物語そのものを楽しむ余裕がなくなりがちです。でも、子どもは英語そのものよりも物語に集中していますね。三匹の子ぶたも本当はこういうお話だと伝えると、子どもは意外にあっさり受け止めてくれるかもしれません。

 

童話は、本当は怖くて恐ろしい!

童話は書かれた時代を背景にして、擬人化した動物、キャラクターなどにより、人間の三大欲(食欲、性欲、睡眠欲)が描かれているようです。

原本は本当に残酷だったり、怖かったり、人間の深層心理があったりと、かなり複雑で難しいですね。今回ご紹介した「三匹の子ぶた」はほんの一例ですが、これ以外にも、実は怖くて恐ろしい童話がたくさんあります。ハロウィーンに本当は怖い「三匹の子ぶた」のストーリーを読み聞かせるのもいいでしょう。

【関連記事】

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。