子供の英語教育

弾むようなリズム感で身体をフルに動かす幼児英語レッスン「RhymoeⓇ(ライモー)」取材レポ

英語独特の発音の強弱やスピードを身につけるには、弾むようなリズム感覚(「バウンシングリズム」)を身体で習得するのがポイントです。ダンスフィットネスインストラクターならではの身体をフルに使う英語レッスン「RhymoeⓇ(ライモー)」を実践している石川良美さんを取材しました。

清水 万里子

執筆者:清水 万里子

子供英語ガイド

”英語嫌い”増!? 公立小学校の英語教科化から3年……

小学校英語が「教科」になって丸3年経ちました。実施5年目を迎える2024年度は教科書改訂の年ですが、多くの市町で採択されている東京書籍の英語教科書に載っている単語数が、697語から825語と大幅に増えるようです。

また、小学3年生から6年生の児童とその保護者を対象に実施された「授業の好き嫌いについて」の意識調査によると、どの学年も英語嫌いが“3割”という結果が出ています(「英語に関する小学生の意識調査」2021年10月15日一般社団法人ダヴィンチマスターズ)。

今後、取りあつかう語彙数がさらに増えれば、バラエティに富む英会話のコミュニケーション活動が可能になるかもしれませんが、単語やフレーズを覚えることを強いられると、英語嫌いがますます増えてしまう心配もあります。

一方で、公教育以外の英語学習が以前にも増してとても盛んになっています。英語教育サービスが多様化するなか、今回は「リズムと動き」を中心にした英語レッスンを幼稚園などに提供している石川良美さんに取材しました。

石川さんは、英語教育メソッドとして自身が開発した「RhymoeⓇ(ライモー)」を提供しています。幼児が英語を習うときはじめに身につけるのは、読み書きではなく英語のリズム。このリズムを幼児の身体の動きと合わせて習得させていくメソッドが「RhymoeⓇ(ライモー)」です。
 

RhymoeⓇ(ライモー)は弾むようなリズム感で身体をフルに使うレッスンが特徴

ここからは、千駄ヶ谷にある保育園「千駄ヶ谷りとるぱんぷきんず」の年長クラスの子どもたちに、3名の保育士の補助も付いた45分間のRhymoeⓇのレッスンを紹介していきます。
ボンゴ

円になってボンゴの音を聞きながら英語で会話する。

園の一番広いホールで行われるレッスンは、石川先生が「Bongo(ボンゴ)」と呼ばれる2つの太鼓がつながった打楽器を使って、リズムを取りながら始まりました。まず『Hello Song』をアカペラで歌いながら、子どもたちにリズムよく問いかけて一人ひとりと会話をしていきます。3曲目の『Stand Up Sit Down』では、徐々に動きがある活動になっていき、子どもたちは大きく身体を動かしながら英語をリピートしていきます。

『Head Shoulders Knees and Toes』では、「エッグ・シェーカー(Egg shaker)」という、たまごの形をしたマラカスをもって、英語リズムに合わせて鳴らします。体操と組み合わせたような身体の動きは、室内とは思えない活発な運動です。
エッグシェーカー

子どもが手に持って使うエッグシェーカー

保育士さんによるとエッグ・シェーカーを持っておこなうリズム遊びは、普段は集団行動が苦手なタイプの子どもでもノリノリで参加してくれるそうです。
 

絵本でひと息したあとも、リズムよく進む活動

20分ほど身体を使って活動した後、英語絵本『Tanka Tanka Stunk!(by Steve Webb)』の読み聞かせが始まりました。シンプルなリズムで子どもたちが真似して言いやすい文章でした。
絵本の読み聞かせ

絵本のリズムを楽しみながら集中して聞いている。

子どもたちははじめはユニークなイラストと英語リズムを楽しんでいましたが、先生が2回目を読み始めると、初めて読み聞かせた絵本にもかかわらず一緒にリズム良く発音しはじめました。リズムの力はすごいです。
「slow/fast」聞き分けて動く電車ごっこの活動

「slow/fast」聞き分けて動く電車ごっこの活動

RhymoeⓇメソッドでは、弾むリズム感覚を徹底して指導しているので、絵本でひと息したあともリズムよくレッスンが進んでいきます。続いて電車ごっこの活動では、子どもたちが英語を聞き分けながら声を合わせて「choo, choo」と言ったり、「slow/fast」聞き分けて動きます。
 

パラシュートを使った活動の後、寝ころんで落ち着いた歌で終了

続いて、広いホールだからこそできる、カラフルな色の大きな布のパラシュートを使った活動です。子どもたちは各自パラシュートの端を持ち、軽快な音楽に合わせてアクティビティが進められていきます。先生がパラシュートの中央にボールを一つ投げ入れて、up-downを繰り返すとボールが動きます。子どもたちは身体をフル活動して参加しています。
パラシュート活動

自由な発想で、自由に動ける、パラシュート活動

パラシュートで思い切り動いた後、子どもたちはパラシュートの上でゴロリと寝ころびます。そして『Twinkle Twinkle Little Star』を聞きながら少しずつ落ち着いていきます。レッスンの最後は先生がアカペラで『Good bye song』を歌って終了です。

45分間動き回るので先生たちも体力勝負でしょう。
 

ダンスフィットネスのインストラクターだった開発者の石川良美さん

実は、石川さんはダンスフィットネスのインストラクターです。自身の8年に及ぶアメリカでの子育て生活を経て日本に帰国。そして、好きなダンスフィットネスインストラクターをしていたところ、「英語ダンスクラス」を教えてほしいと頼まれたのが子どもの英語教育に携わり始めるきっかけだったそうです。

いわゆる、最近人気が出ている「英語+α」の習い事にとどまらないすごいところは、石川さん自身の得意とするダンスからヒントを得て、リズム・動き・英語を体系的にまとめて実践している点です。そして、体系的にまとめたものを「RhymoeⓇ」というオリジナルメソッドにして全国に展開中です。くわしくはRhymoeⓇのホームページをご覧ください。
資格をもった保育士

RhymoeⓇインストラクター認定資格をもった保育士たちと石川さん

これまで子どもの英語教育の先生というと、昭和の黎明期を支えた著名な教育者の方々が幼児・児童への英語教育法を模索しながら行ってきた指導法が中心です。英語の歌もあり、絵本もあり、ダンスもありでしたが、教える先生は教育者が中心だったのです。最近では大御所の先生方が一人二人と旅立った知らせも届くようになり、私自身ひとつの時代が終わったと実感しているときに出会ったのが、RhymoeⓇというオリジナルメソッドを全国に広げて日本の英語教育を変えたいと活動を続けている石川さんでした。

すでに延べ2万人以上の人たちがRhymoeⓇメソッドの英語レッスンを受けたり、メソッドを習得してインストラクターになったりしています。

RhymoeⓇのレッスンで使われているソングブック2冊セットの英語歌(78曲)のうち64曲を石川さん本人が歌っています。ここまでできる人はなかなかいません。石川さんの活動が広がっていくことを願っています。


 
石川良美(いしかわよしみ)先生/一般社団法人英語リズムムーブメント協会(ERMA)代表理事。Rhymoe(ライモー)®クリエイター。

石川良美(いしかわよしみ)先生/一般社団法人英語リズムムーブメント協会(ERMA)代表理事。Rhymoe(ライモー)®クリエイター。

石川良美(いしかわよしみ)先生/一般社団法人英語リズムムーブメント協会(ERMA)代表理事。Rhymoe(ライモー)Ⓡクリエイター。

京都大学教育学部卒業。夫の海外赴任に伴い、アメリカで8年間、3人の子育てを経験。アメリカの日本語幼稚園教師、絵本読み聞かせボランティア、ダンスフィットネスインストラクターなどの経験を通じて、日本の幼児英語教育に「リズムと動き」が必要と気づく。2015年オリジナルの英語教育メソッド「RhymoeⓇ」を考案し、一般社団法人を設立。これまでに、延べ2万人以上の人たちにRhymoeⓇメソッドを実践するとともに、RhymoeⓇメソッドの開発・啓蒙・普及に取り組んでいる。
 
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